道徳的動物日記

動物や倫理学やアメリカについて勉強したことのある人の日記です。

時事問題

男性が自殺するのは「支配欲」が原因だって?

wezz-y.com wezz-y.com 今日は、Wezzyというサイトに掲載された社会学者の平山亮のインタビューについて取り上げようと思う。タイトルからも察せる通り、男性が感じる社会的なプレッシャーや苦痛を問題として取り上げるタイプの「男性学」に対して平山は批判…

『ワンダーウーマン』とイスラエル云々についての雑感

news.yahoo.co.jp ちょうど先日『ワンダーウーマン』を見に行ったばかりなので、この記事について思うところを簡単に書いておこう。 ・読んでまず疑問に思うのが、この記事では「『ワンダーウーマン』の主演女優であるガル・ガドットは親イスラエルでイスラ…

女性哲学者が少ないのは、哲学が女性差別的であるから?

昨日にアップしたGoogle社員による「反多様性メモ」についての記事では「一般的に、女性は男性よりも数学やソフトウェア・エンジニアリングに対する関心が低い傾向にある」「Googleの社員やソフトウェア・エンジニアの大多数が女性であることの原因は、男女…

Google社員の「反多様性メモ」の内容は間違っていたのか?

jp.reuters.com www.bbc.com やや時機を逸している感はあるが、今更ながら、Google社員のジェームス・ダモアが社内文書にて男女の生物学的性差などを論じながらGoogleの多様性制度を批判したために解雇されてしまった事件について、軽く英語記事を紹介してみ…

ゆらぎ荘騒動についての雑感

togetter.com ↑ 最近話題になっているこの騒動について。 騒動の発端となったのは、以下の2つのツイートであるようだ。 ジャンプ開いたらいきなりこれだった。成人コミックかと思うよ…。公式の人気投票でキャラをここまで無意味に裸に剥いて、記号のように…

市民的不服従の倫理

先日に訳した記事に関連して、倫理学者のピーター・シンガーの主著『実践の倫理』で行われている、市民的不服従に関する議論も簡単にまとめてみよう。参考にしているのは第三版の原著(三版は未邦訳)、11章の「市民的不服従、暴力、テロリズム(Civil Disob…

市民的不服従と動物の権利運動

www.theage.com.au 今回紹介するのは、2013年の5月10日にオーストラリアの The Ageというニュースサイトに掲載された、政治学者のシヴォーン・オサリヴァン(Siobhan O'Sullivan)と倫理学者のクレア・マコーズランド(Clare McCausland)による記事。オサリ…

肉食が引き起こす5つの倫理的問題

今回紹介するのは、オーストラリアの Conversation誌に掲載された、公衆衛生学者の フランシス・ヴァーガンスト(Francis Vergunst)と倫理学者のジュリアン・サバレスキュ(Julian Savulescu)による記事。 theconversation.com 「あなたの皿に載った肉が地…

原罪としての"男性特権"

tocana.jp 上述の記事は最近話題になった「ジェンダー学版ソーカル事件」というべき事件についての紹介記事だが、この事件を起こした数学者ジェームズ・リンゼイ(James A. Lindsay) と哲学者のピータ・ボグホシアン(Peter Boghossian)が昨年にネット上で…

スローガンとしての「インターセクショナリティ」

インターセクショナリティ(Intersectionality)という概念については以前にも批判的な記事を訳したのだが、英語圏の学者たちのTwitterなどを見ているといまだによく出てくるので、ちょっと追加で記事を紹介してみることにした。 www.insidehighered.com こ…

民主主義を貶め右翼を蔓延させるポストモダニズム

ネットサーフィンをしていたら見つけた、ヘレン・プラックローズ(Helen Pluckrose)という人文学者による、『How French “Intellectuals” Ruined the West: Postmodernism and Its Impact, Explained(フランス知識人はいかにして西洋を台無しにしたか:ポ…

学問的営みを蝕む批判理論

Academic Freedom in an Age of Conformity: Confronting the Fear of Knowledge (Palgrave Critical University Studies) 作者: Joanna Williams 出版社/メーカー: Palgrave Macmillan 発売日: 2016/01/06 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを…

社会運動において意見を発信する側はどうするべきか、そして意見を受け取る側はどうあるべきか

davitrice.hatenadiary.jp 上述の、先日に自分で書いた記事に付け足す形で思うところを書きたい。 先日の記事でも紹介したが、ニック・クーニー(Nick Cooney)の著書『心を変える:社会を変える方法について心理学が教えてくれること(Change of Heart: Wha…

社会運動を効果的に行うためにはどうすればいいのか?

Change of Heart: What Psychology Can Teach Us About Spreading Social Change (English Edition) 作者: Nick Cooney 出版社/メーカー: Lantern Books 発売日: 2015/09/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 今回は、ニック・クーニー(Nick …

『歴史の終わり』はトランプの出現を予期していた?

歴史の終わり〈上〉歴史の「終点」に立つ最後の人間 作者: Francis Fukuyama,フランシスフクヤマ,渡部昇一 出版社/メーカー: 三笠書房 発売日: 2005/05 メディア: 単行本 購入: 8人 クリック: 277回 この商品を含むブログ (21件) を見る 1992年に出版さ…

「死ぬ権利」を整備することは「死ぬ義務」につながるのか?

以下のツイートを目にしたのをきっかけに、前々から思っていたことを書こうと思う。 この学会の構成員は医療従事者(半数が医師)約4000人で、比較的小さな学会だが、こういうところからも「尊厳死」の世論作りを始めてきたんだね。 / ”本人が望まなければ救…

人文学は何の役に立つのか?

近年、「学問は役に立つのか?」「人文学を学ぶ意味はあるのか?」「利益を上げない学問に税金を投入する意味はあるのか?」みたいなことが言われることが多くなっているような気がする。大体の場合、やり玉に挙げられるのは人文学や文系の科目全般だったり…

Cultural appropriation(文化の盗用/文化の簒奪)という概念に対する批判の雑なまとめ

www.huffingtonpost.jp togetter.com togetter.com このテの話題でよく出てくるCultural appropriation(文化の盗用/文化の簒奪)という概念だが、白人が着物を着ることばかりでなく、「エミネムのような白人ラッパーはCultural appropriationだ」「ロック…

トランプ政権について、ピーター・シンガーのコメント

vpoint.jp ↑ こんな記事も出ていることなので、シンガー本人はドナルド・トランプ米大統領についてどんなコメントをしているのか、簡単に調べてまとめてみた。 www.project-syndicate.org 上述の、2017年2月1日付でProject Syndicateに発表された「ト…

「共感の罠」 by ピーター・シンガー

www.project-syndicate.org 今回紹介するのは倫理学者ピーター・シンガーが先日にProject Syndicateに発表した記事。心理学者ポール・ブルームの新刊の書評的な記事である。 「共感の罠」 by ピーター・シンガー バラク・オバマがアメリカ大統領として選出さ…

「捕鯨に対する文化的偏見?」 by ピーター・シンガー

www.project-syndicate.org 今回紹介するのは、倫理学者のピーター・シンガーが2008年の1月に Project Syndicate に発表した、「Hypocrisy on the High Seas?(公海上の偽善?)」という記事。2016年に発売されたシンガーの倫理学エッセイ集である…

オルタナ右翼とソーシャル・ジャスティス・ウォーリアー

quillette.com Quilletteというサイトに掲載された記事を紹介。 「社会正義左翼とオルタナ右翼:我らの分断された新世界」 by ベン・シックススミス あなたが猫の写真や料理のレシピやヌード写真以外のことをインターネットで調べた経験があるなら、現代政治…

退行的左翼とイスラム教

www.wikiwand.com togetter.com 上にリンクを貼った記事などでも紹介されたり言及されたりしているが、近頃の英語圏の無神論者や反PC界隈のメディアやブログ等を読んでいると、 Regressive Left 退行的左翼 という言葉を目にする機会がある。 退行的左翼に…

「アイデンティティ・リベラリズムの終焉」by マーク・リラ 

http://www.nytimes.com/2016/11/20/opinion/sunday/the-end-of-identity-liberalism.html 今回紹介するのは、ニューヨークタイムスに掲載されたマーク・リラ(Mark Lilla)の記事。リラは政治科学者兼歴史学者であるらしく、政治的立場としては左派であるよ…

「ブルキニを禁止する?」 by ピーター・シンガー

www.project-syndicate.org 今回紹介するのは倫理学者のピーター・シンガーが2016年の9月に Project Syndicate に発表した記事。最近はドナルド・トランプ当選に関連してジョナサン・ハイト等による多文化主義について批判的な記事を翻訳していたが、こ…

トランプ当選とかアイデンティティ・ポリティクスとかに関する適当な備忘録

・ 以下の記事のなかで、会田弘継は以下の発言をしている。 synodos.jp よくトランプ現象は人口が減っていく白人たちの雄叫びというように解釈されますが、それも短絡的な考え方ではないかと私は思っています。たしかに、トランプだけ見ずにサンダースの方も…

トランプ現象と多文化主義 (ジョナサン・ハイトのインタビュー記事)

www.vox.com 今回紹介するのは、 Vox という web サイトに掲載された、社会心理学者のジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt 、文中では JH)へのインタビュー記事。ドナルド・トランプが大統領に当選した一週間後に発表された記事だが、記事の内容としては、…

「ドナルド・トランプと、社会科学の失敗」 by ユリ・ハリス

quillette.com 今回紹介するのは Quillette というサイトに掲載された、ユリ・ハリス(Uri Harris)という経済学者?の記事。アメリカ大統領選挙にてドナルド・トランプが勝利した理由について社会科学的に分析している記事…ではなくて、トランプの大統領当選…

「分裂したアメリカ政治を乗り越える方法」 by ジョナサン・ハイト、ラヴィ・アイヤー

www.wsj.com 社会心理学者のジョナサン・ハイトとラヴィ・アイヤーが2016年の11月4日にウォール・ストリート・ジャーナルに発表された記事。ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプとの大統領選の結果が出る数日前に発表された記事だが、選挙の結…

ピーター・シンガーと資本主義

theconcourse.deadspin.com 今回は、Concourseというwebサイトに掲載された「革命は行ってもよいだろうか?世界一の倫理学者に訊いてみた」というタイトルの記事を軽く紹介したい。 記事の冒頭では、現代のアメリカにおける富裕層と貧困層との間の圧倒的な格…