道徳的動物日記

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2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ピーター・シンガー Practical Ethics 第2版と第3版の異同 (第六章・第七章)

第六章 生命を奪う ー胚と胎児ー Taking Life The Embeyo and Fetus ・今日 → ここ40年(123) ・先進国で中絶法の緩和されてきたことについて「アイルランドだけがこの流れに抵抗していた」→「アイルランドやポーランドでさえも一部の状況での中絶を認…

ピーター・シンガー Practical Ethics 第2版と第3版の異同 (第四章・第五章)

Practical Ethics 作者: Peter Singer 出版社/メーカー: Cambridge University Press 発売日: 2011/02/21 メディア: ペーパーバック クリック: 2回 この商品を含むブログ (2件) を見る 第四章 殺すことのどこが不正なのか What's Wrong With KIlling? ・アン…

ピーター・シンガー Practical Ethics 第2版と第3版の異同 (まえがき〜第三章)

Practical Ethics 作者: Peter Singer 出版社/メーカー: Cambridge University Press 発売日: 2011/02/21 メディア: ペーパーバック クリック: 2回 この商品を含むブログ (2件) を見る Peter SingerのPractical Ethicsについて、1993年に出版された第2…

パーソン論について雑にまとめてみた

The Oxford Handbook of Animal Ethics (Oxford Handbooks) 作者: Tom L. Beauchamp,R. G. Frey 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr (Txt) 発売日: 2014/02 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る ・「女性には自分の意志に基づいて胎児を中絶…

動物の権利運動と動物福祉 ー 規制か、撤廃か? 動物の権利運動における畜産をめぐる論争

アニマルウェルフェア―動物の幸せについての科学と倫理 作者: 佐藤衆介 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2005/06 メディア: 単行本 購入: 1人 この商品を含むブログ (8件) を見る 1:「動物福祉」とは何か 欧米では、動物愛護運動は主にイギリスを…

「動物の権利」を主張するとはどういうことか  (動物の「道徳的権利」と、その他の意味合いでの「権利」)

動物の権利 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者: デヴィッド・ドゥグラツィア,戸田清 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2003/09/06 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 20回 この商品を含むブログ (18件) を見る 「動物の権利」という言葉をめぐるや…

「文化は尊重されるべきである」という規範と動物倫理

・一般的に、「文化とはよいものである」「文化の多様性は尊重されるべきである」「人々が自分の親しんでいる文化から引き離されて、親しみのない異文化を押し付けられることは問題である」といった考えは広く支持されていると思う。*1多くの人は、自分にと…

ピーター・シンガーによる「種差別」の議論

「人間の利益を“人間だから”という理由で優先して、動物には“動物だから”という理由で配慮しないことは、その存在が 属している生物種によって配慮するかしないかを非合理的に選択する、種差別(生物種による差別)である。これは、白人の利益を“白人だから”…

ピーター・シンガーの「利益に対する平等な配慮」の原理

ピーター・シンガーが『動物の解放』で行った主張の要点は、以下のようなものである。 「動物は、人間と同じように、道徳的な配慮の対象となる」 「現在の社会において人間が動物たちに行っていること(畜産や動物実験など)は、人間の利益を優先して動物に…

ピーター・シンガーの『動物の解放』

現在、欧米やアジアなどの世界各国で「動物の権利運動」が行われている。 動物の権利運動は「人間の利益のために、動物を利用・搾取する制度」を批判する。具体的には、大規模な集約式畜産制度・学問研究や新製品開発のための動物実験制度・動物の毛皮を利用…

「動物は道徳的地位を持つ」という主張

・「動物の権利論」や「動物開放論」と呼ばれる議論の基本となる主張は「私たちは、動物に対して、直接的な義務を負っている」という主張である。これは「動物は道徳的地位を持つ」という主張でもある。 今回は、ジェイムズ・レイチェルズの議論を参考にしな…