道徳的動物日記

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2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

レトリックに基づいて物事を考えてはいけない理由

ローマ皇帝のメンタルトレーニング 作者:ドナルド・ロバートソン CCCメディアハウス Amazon 英語圏で定期的に出版されている、ストア哲学をライフハックや自己啓発に活かす方法を説くタイプの本だ*1。 本書の特徴のひとつは、数多くいるストア哲学者のな…

読書メモ:『自己陶冶と公的討論:J.S.ミルが描いた市民社会』

自己陶冶と公的討論 -J.S.ミルの市民社会論の射程 作者:樫本直樹 大阪大学出版会 Amazon 先日に読んだ『醜い自由』と同じく、ミルの著作(『自由論』がメインだが『功利主義論』なども登場する)を扱った専門的な本。また、『醜い自由』と同じく、論理的な一…

読書メモ:『愛はすべてか 認知療法によって夫婦はどのように誤解を克服し、葛藤を解消し、夫婦間の問題を解決できるのか』

愛はすべてかー認知療法によって夫婦はどのように誤解を克服し, 葛藤を解消し,夫婦間の問題を解決できるのか 作者:アーロン・T・ベック 金剛出版 Amazon わたしはまだ独身なので、「夫婦間の関係をどう解決するか」というよりも「認知(行動)療法」の考え方…

ホッブズ、哲学的アナーキスト、ルソー、ミル(読書メモ:『政治哲学入門』)

政治哲学入門 作者:ジョナサン ウルフ 晃洋書房 Amazon 原書は1996年(最近に第4版が出版されているが)、邦訳も2000年。なんのフックもないタイトルに地味な装丁といかにも売れそうにないタイプの本だが、その中身はというと、わたしがいままで読んだ政治哲…

読書メモ:『醜い自由 -ミル「自由論」を読む』

醜い自由 (新基礎法学叢書21) 作者:若松 良樹 成文堂 Amazon タイトルの通り、『自由論』でミルが主張していることについて緻密に分析していく、といった感じの内容。序文では著者は思想史家ではなく、この本にも文献学的な厳密さもないことが断れているが、…