社会学
「経済学101」では、政治や経済について論じるカナダの哲学者、ジョセフ・ヒースのブログも訳されている。 econ101.jp econ101.jp 上記の記事ではどちらもかなり重要なことが書かれていると思うが、その一方で(特に日本の読者にとっては)さして重要でな…
男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望― 作者:イヴ・K・セジウィック 発売日: 2001/02/20 メディア: 単行本 近頃では、「これからは男性同士でもケアし合わなければならない」と言った主張がちらほらとされるようになっている。 この主張がされる文…
Lonely at the Top: The High Cost of Men's Success 作者: Thomas Joiner Ph.D. 出版社/メーカー: St. Martin's Press 発売日: 2011/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 思うところあって、トマス・ジョイナーの『Lonely at the Top: The…
The Coddling of the American Mind: How Good Intentions and Bad Ideas Are Setting Up a Generation for Failure (English Edition) 作者:Lukianoff, Greg,Haidt, Jonathan 発売日: 2018/09/04 メディア: Kindle版 前回に引き続き、先日から、社会心理学…
The Coddling of the American Mind: How Good Intentions and Bad Ideas Are Setting Up a Generation for Failure (English Edition) 作者:Lukianoff, Greg,Haidt, Jonathan 発売日: 2018/09/04 メディア: Kindle版 先日から、社会心理学者ジョナサン・ハ…
gendai.ismedia.jp 上記の記事は3ヶ月前のものだ。ブコメは現時点で30ほどしか付いていないが、わたしを含めて、違和感を表明しているコメントが多い。 特に違和感があるのは、やはり、「人種は存在しない、あるのはレイシズムだ」というタイトルだろう。こ…
階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現 作者:チャールズ・マレー 発売日: 2013/02/21 メディア: 単行本 数年ぶりの再読。アメリカの「階級」に関する話題はトランプ当選以降に注目されるようになって、わたしもいくつかそれらの本の感想を書いてき…
反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか 作者:ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター 発売日: 2014/09/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) カウンターカルチャー的な分析からは、決まったパターンが浮かびあがってくる。社会問題は…
davitrice.hatenadiary.jp econ101.jp 先ほどの記事でジョセフ・ヒースの「『批判的』研究の問題」を取り上げたことなので、この記事から面白いところをいくつか引用しよう。 さっき言ったように,「批判的社会科学」の志は,たんに規範的な決意に導かれた社…
真実の終わり 作者:ミチコ・カクタニ 発売日: 2019/06/05 メディア: 単行本 ようやく『真実の終わり』が図書館で借りれるようになったので、パラパラと読んでみた。内容としては大したことがなくて、HONZの書評にまとめられている以上のものはほとんど得られ…
反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか 作者:ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター 発売日: 2014/09/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 数年ぶりに読み返しているが、やはり面白い。著者であるヒースの嫌味さや性格の悪さが存分…
(深夜に突貫で書いた記事なので、かなりグダグタな内容になっている) ポリティカル・コレクトネスとそれが引き起こす問題は様々な場面に存在している。このブログでは主にアカデミアにおけるポリコレの問題を扱ってきたし、今年からはじめた映画日記の方で…
ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか 作者:クロード・スティール 発売日: 2020/04/06 メディア: Kindle版 本の題名だけ見ると、わたしたちが"他人"に対してどのようなステレオタイプを抱いているか、わ…
格差は心を壊す 比較という呪縛 作者:リチャード ウィルキンソン,ケイト ピケット 発売日: 2020/04/03 メディア: Kindle版 タイトル通り、経済の格差がわたしたちの心や健康にもたらす悪影響について論じて、経済格差が広がると社会的分断も広まって政治にも…
仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書) 作者:筒井 淳也 発売日: 2015/05/22 メディア: 新書 日本社会の少子化の原因を、日本の労働・雇用の環境や福祉制度などの特殊性に注目しながら分析する本。少子化の解決には男女共働きと育児…
●『働く女子のキャリア格差』 働く女子のキャリア格差 (ちくま新書) 作者:祥子, 国保 発売日: 2018/01/10 メディア: 新書 タイトルからして様々な属性の職業選択や出世に関する格差(地方と東京ではこんなに違う、大卒と非大卒とではこんなに違う、みたいな…
リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義 (中公新書) 作者:渡辺靖 発売日: 2019/05/17 メディア: Kindle版 タイトル通りリバリアニズムについて書かれた本であるが、政治哲学や経済学などにおける理論としてのリバタリアニズムについて書いた本では…
アンダークラス (ちくま新書) 作者:健二, 橋本 発売日: 2018/12/06 メディア: 新書 同じ著者の『新・日本の階級社会』は以前に読んだが、その本から内容はあまり変わっていない。社会科学らしく統計情報が大量に出てくる本ではあるのだが、大量に出てくる図…
アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 (集英社学芸単行本) 作者:ジョーン・C・ウィリアムズ 発売日: 2017/10/27 メディア: Kindle版 2016年の大統領選では多くの人がヒラリ…
ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか 作者:レイチェル・ギーザ 発売日: 2019/03/01 メディア: Kindle版 男性たちが持つ「男らしさ」は先天的に備わっているものではなく、社会関係やメディア表象などを通じて後天的に身に付くものである、ということ…
www.webchikuma.jp 大塚英志による上記の記事は、はてブでも先日から人気記事となっておりおおむね好意的に受け止められているようだが、わたしは読んでいてモヤモヤ……というよりも「うんざり」という感情を抱いてしまった。 なので、わたしが共感するブコメ…
エロティック・キャピタル すべてが手に入る自分磨き 作者:キャサリン・ハキム 発売日: 2012/03/03 メディア: 単行本(ソフトカバー) 数年前に読んだ本であるが、思うところあって改めて再読。 「すべてが手に入る自分磨き」という邦訳版オリジナルの副題は…
(2018年の1月に別ブログで書いた記事だが、別ブログの方は閉鎖してしまったので再掲。この次にアップするフランシス・フクヤマの『IDENTITY 尊厳の欲求と憤りの政治』の感想記事に関係するので、このブログに再掲載することにした。) 分断されるアメリカ (…
ダーウィン・エコノミー 自由、競争、公益 作者:ロバート・H・フランク 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2018/03/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この本の著者のロバート・フランクには1990年代から多数の著作を出版しており、最近のもの…
結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3) 作者: 小倉千加子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2007/01/01 メディア: 文庫 購入: 13人 クリック: 214回 この商品を含むブログ (53件) を見る フェミニストの学者が、当時(2002年〜2003年)の日本の女性の結婚にま…
前回の記事の続き…と言いたいところだが、大したことが書けそうにないので箇条書きで。 ●議論が盛り上がるきっかけとなった「男性のつらさの構造」記事では、男性のつらさの原因の一つを「女性の高望み」と分析していた。そして、それに対する解決策の一つと…
前回の記事の続き。ほんとは前半と後半の2つに分けるつもりだったがしんどいので3つに分けることにした(4つになるかも)。 批判その5:トランプやブレクジット、権威主義的ポピュリズムの隆興はどう説明する?それらは、啓蒙主義の時代が終わり進歩が逆行…
以前に訳して紹介したポーラ・ライト(Paula Wright)のブログの記事を読みながら、だらだらと考えたこと*1。 porlawright.com 「改良された"家父長制"を擁護する」というこの記事では、家父長制とは単一の種類しかないものではなく、悪性の家父長制もあれば…
今回はThe Atlanticに掲載されたアメリカの進化心理学者のAvi Tucshmanの記事を訳して紹介。数年前に読んだTucshmanの著書の『Our Political Nature(私たちの政治的な本性)』でもこの記事と同様の話題が含まれていた。なお記事が公開されたのは2014年2月な…
www.philly.com 今回紹介するのは、Philly.comというサイトに掲載された、ペンシルヴァニア大学のロースクールの教授であるエイミー・ワックス(Amy Wax)とサンディエゴ大学法学部の特別教授であるラリー・アレクサンダー(Larry Alexander)による「ブルジ…