道徳的動物日記

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肉食

フェミニズムと動物:まとめと批判

An Introduction to Animals and Political Theory (The Palgrave Macmillan Animal Ethics Series) (English Edition) 作者:Cochrane, Alasdair Palgrave Macmillan Amazon 先日に引き続き、「フェミニズムと動物倫理」というテーマでお勉強。 今回は政治哲…

読書メモ:『ベジタリアン哲学者の動物倫理入門』&『はじめての動物倫理学』

ベジタリアン哲学者の動物倫理入門 作者:浅野 幸治 ナカニシヤ出版 Amazon はじめての動物倫理学 (集英社新書) 作者:田上 孝一 集英社 Amazon どちらも日本人の哲学者によって書かれた動物倫理学の入門書であり、同時期に出版された*1。基本的な構成はどちら…

使える倫理は、つまらない(読書メモ:『動物倫理の新しい基礎』)

動物倫理の新しい基礎 作者:ローリン,バーナード 発売日: 2019/12/01 メディア: 単行本 この本のスタンスは、序章となる「新しい動物倫理の必要性」の最後の段落に、おおむねまとまっているだろう。 たとえば、功利主義的理由のためにシンガー自身が、産業的…

「肉食の自由」?

davitrice.hatenadiary.jp ↑ 昨年の5月に触れた話題について、改めてちゃんと書いてみた。 日本で動物の権利を主張する団体の最大手であるアニマルライツセンターは、2016年からほぼ毎年、渋谷で「動物はごはんじゃない」というプラカードを掲げたデモ行進を…

「アニマルライツセンターの言うことだから信用できない」という物言いについて

gendai.ismedia.jp ↑ この記事についたブクマなどの反応を見ての雑感。 記事に対する賛否は半々であり、記事で指摘されているニワトリの劣悪な飼育状況に対する懸念を表明する声や改善を求める声もある一方で、記事の著者がアニマルライツセンターの代表であ…

動物の権利運動は部落差別?

otapol.com 上記の記事とか、それ以前からよく言われている「動物の権利運動は部落差別だ」的な主張に対する一般論的な反論。 多くの社会運動では、現行の社会で認められている社会制度を不当だとして、その制度に規制をかけたり撤廃したりすることが目標と…

「動物はおかずだ」デモに関して(1)

(仕事の休憩時間に取り急ぎ書いた) 上記の記事に関して、まず気になったのは以下の箇所。 「しかし「動物はごはんじゃないデモ行進」は、自らが肉を忌避するだけでは飽き足らず、他者の権利や自由を否定し肉の撲滅を目論んでいる。」 「憎むべきは、ヴィー…

『オクジャ』と動物愛護

www.excite.co.jp www.gizmodo.jp Netflixでポン・ジュノ監督の『オクジャ』を観賞。普段はこのブログでフィクション作品の感想を書くことはほとんど無いのだが、『オクジャ』は明らかに動物倫理的なテーマを扱っているということもあって、ちょっと感想を書…

肉食が引き起こす5つの倫理的問題

今回紹介するのは、オーストラリアの Conversation誌に掲載された、公衆衛生学者の フランシス・ヴァーガンスト(Francis Vergunst)と倫理学者のジュリアン・サバレスキュ(Julian Savulescu)による記事。 theconversation.com 「あなたの皿に載った肉が地…

肉食は"自然"で"必要"か?

honz.jp この記事についているブコメなどの反応を見てみると、社会心理学者のメラニー・ジョイ(Melanie Joy)が『Why We Love Dogs, Eat Pigs, and Wear Cows: An Introduciton to Carnism(肉食主義へのイントロダクション:なぜ私たちは犬を愛し、豚を食…

カント的な動物倫理の議論:クリスティン・コースガードのインタビュー記事

blog.practicalethics.ox.ac.uk オックスフォードのPractical Ethicsブログから、2015年の4月に公開された、カント的な立場の倫理学を主張する倫理学者クリスティン・コースガード(Christine Korsgaard)にEmilian Mihailovというルーマニア(?)の倫理学…

「植物への倫理的配慮?」 by ゲイリー・フランシオーン

A Frequently Asked Question: What About Plants? – Animal Rights: The Abolitionist Approach 今回訳して紹介するのは、動物の権利論者・動物の権利運動家のゲイリー・フランシオンがホームページに掲載した記事。記事の正式なタイトルは「よくある質問:…

家畜動物のシティズンシップ:『人と動物の政治共同体』(2)

人と動物の政治共同体-「動物の権利」の政治理論 作者: スー・ドナルドソン,ウィル・キムリッカ,Sue Donaldson,Will Kymlicka,青木人志,成廣孝 出版社/メーカー: 尚学社 発売日: 2016/12/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を…

野生動物とペット・家畜に対する道徳的責任の違い - クレア・パーマー『文脈のなかの動物倫理』

Animal Ethics in Context 作者: Clare Palmer 出版社/メーカー: Columbia University Press 発売日: 2010/12/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 数年前にClare Palmer(クレア・パーマー)という人が書いた『Animal Ethics in Context(文…

ハラールと給食の話題についての雑感(追記あり)

なんか「ムスリムの人が給食のハラール対応を要求した」ことが確定事項みたいに扱われているが、元記事を読むともっと微妙な話だと思う。 Twitterで書いた文章を丸々転載。 学校生活、給食など苦慮 ムスリムの子に「理解を」 https://t.co/r2ZLNoEkrE この記…

動物倫理・功利主義における「置き換え可能性」の議論

www.irishtimes.com 今回紹介するのは The Irish TImes というサイトに掲載された、功利主義系の倫理学者タティアナ・ヴィサクのインタビュー記事。ピーター・シンガーの『実践の倫理』などでも取り上げられている、動物や人間の生命の「置き換え可能性(rep…

「なぜ動物を食べることに罪悪感を抱かないのか?」

theconversation.com 今回紹介するのは、心理学者のキャロライン・スペンス(Caroline Spence)という人が2015年にオーストラリアの Conversation 誌に掲載誌した記事。社会心理学の論文が色々と参照されている。 「なぜ私たちは動物を食べることにもっ…

「工場畜産は人類史上最大の罪の一つだ」 by ユヴァル・ノア・ハラリ

www.theguardian.com 今回紹介するのは歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)がイギリスのGuardian誌に掲載した記事。 最近邦訳が出たハラリの著書『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福( "Sapiens: A Brief History of Humankind" )…

「昆虫に意識はあるか?」 by ピーター・シンガー

www.project-syndicate.org 今回紹介する記事は、Project Syndicateに掲載された倫理学者ピーター・シンガーのコラム「Are Insects Conscious?」。 「昆虫に意識はあるか?」 by ピーター・シンガー 昨年の夏、私が栽培していたルッコラの葉にモンシロチョウ…

肉食を正当化する心理

nymag.com 今回紹介するのは、 Science of Usというwebページにジェシ・シンガル(Jesse Singal)という人が掲載した「肉食を正当化する4つの方法(The 4 Ways People Rationalize Eating Meat)」という記事。 Why We Love Dogs, Eat Pigs, and Wear Cows:…

「人道革命」by ニコラス・クリストフ (消費者主導の、動物福祉の改善運動についての記事)

http://www.nytimes.com/2016/05/15/opinion/sunday/a-humane-revolution.html 今回紹介するのは、ニューヨークタイムス紙にコラムニストのニコラス・クリストフ(Nicholas Kristof)が、全米人道協会(Humane Society of the United States)の会長のウェイ…