道徳的動物日記

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『暴力の解剖学』の書評も気になった

 

暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待

暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待

 

 

レイプの遺伝子『暴力の解剖学』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

 前の記事に続けて同じブログを取り上げることになってしまうが、上記の『暴力の解剖学』の書評も、読んでいて気になった。

 

 同様に、「暴力」を定義していないのも気になった。人や物への破壊行為なのか、無差別殺人からちょっとした嘘、会社の備品のちょろまかしまで、反社会的行為として幅広く適用されている。自分の使いたい文脈に応じて、「暴力」を伸び縮みさせていることが、非常に危うい。

 

極端な言い方をすれば、戦場において敵に対する暴力は英雄的行為としてみなされるが、平和な公園では悪として扱われる。隠れた前提「暴力=悪」という価値観により、盗みや嘘も研究対象として入りこんでしまう。

 

 

 私としては、たしかにタイトルには「暴力」という言葉が使われているが、副題に「神経犯罪学への招待」と書かれている通り、(現代の基準における)「犯罪」全般が対象の本だと理解して読んだ。だから、「暴力」の定義にこだわる必要はないのではないか、と思う。

 

 この書評に関しては、翻訳者の高橋洋さんが Twitterで苦言を書かれていた。上記の書評は200以上のブクマが付くなど、広く読まれているようであるので、それに対する反論も読まれるべきだと思うから、紹介させてもらう。