なんか「ムスリムの人が給食のハラール対応を要求した」ことが確定事項みたいに扱われているが、元記事を読むともっと微妙な話だと思う。
Twitterで書いた文章を丸々転載。
学校生活、給食など苦慮 ムスリムの子に「理解を」 https://t.co/r2ZLNoEkrE この記事の内容で沸き上がるのがよくわからんな。「ハラール対応をしない日本は人権後進国だ/非倫理的だ」みたいな非難が書かれている訳でもないし、具体的な要求すら書かれていないし。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月10日
記事を見てみると、「ルールだから駄目というのではなく柔軟な対応を検討してほしい」は「「ハラール対応」ではない学校給食」に対してだけでなく「お祈りや断食、女性が頭にかぶる「ヒジャブ」を禁止された例や、侮蔑の言葉を投げ掛けられた体験談」にもかかっているようにも読める。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月10日
「なんで学校側/日本側ばかりが柔軟で寛容に対応しなきゃならないんだ、イスラム教徒の側が柔軟で寛容になれ」というコメントが見受けられるけど、イスラム教徒の側は「大半が毎日弁当持参か、豚肉使用のメニュー時におかずを持参する対応」を実践することで既に柔軟に対応している訳だよね。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月10日
イスラム教徒の側が弁当持参などで対応しようとしても「ルールだから駄目」と言われるとか、そういう事例も想像できそうだけど。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月10日
ハラール対応をしてくれたら理想だけど、そうではなくても柔軟な対応はしてほしい、お祈りやヒジャブなども許可してほしいみたいなそういうニュアンスを色々と含めて「ルールだから駄目というのではなく柔軟な対応を検討してほしい」ということじゃないのかな。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月10日
少なくとも、「ハラール対応をしろ!」と要求しているようにはこの記事からは読めない。というか、新聞記事にありがちだけど、講演の内容を記者が断片的に要約したものであるから、ワフユニさんの具体的な主張とか主張のニュアンスとかは全く読み取れない訳だし、それに沸き上がるのはどうかと思う。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月10日
要求や非難をすることが悪い、とも思わないけどhttps://t.co/fK4FqLIOughttps://t.co/QeMvuCbz0a
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月10日
あとこの話題については北守さん(@hokusyu82)のツイートにも基本的に同意。
現状の給食設備やシステムの問題を急激に改善することが難しいのは皆分かっているわけで、そこが問題なのではなく「郷に入れば郷に従え」とか「弁当で十分。権利要求うるさい」とか言って、現状の不当性を合理化して漸進的な改善さえも阻害することなんだけどな。
— 北守 (@hokusyu82) 2017年2月10日
例えは車椅子の人のために駅や公共施設にエレベーターやトイレを設置しようという運動は昔からあったけど、もちろん急激には変わらなかったし、コストがかかるとか車椅子の奴が出歩くのは迷惑とか批判されてもいた。でも徐々に追加されていって、今はそういうのがあるのが当たり前になっている。
— 北守 (@hokusyu82) 2017年2月10日
あと「ハラールに厳密に対応するためには調理器具までに気を使わなければならないから現実的に無理」という主張も散見されるが、家庭とか場合によってもっと緩い基準になる、という話も出ているようだ。
先日読んだ「となりのイスラム」に書かれていたことですが、食事については「こういう食材を使って、このように調理しています」という情報だけをしっかり出せばいいそうです。あとはそれを見て、各家庭..「学校給食におけるハラル対応について」https://t.co/wknT6rW9vy
— 服部弘一郎(映画瓦版) (@eigakawaraban) 2017年2月10日
追記
「あらゆる宗教に対応するなんて現実的に無理なのは明らかでしょ?」というブクマコメントが付いているんだけど、ベジタリアン・ビーガンに対応できれば実質的にイスラムやユダヤをはじめとした多くの宗教に対応できるんだよね。まあ子供向けだと栄養を整えるのが大変なのでコストはすごくなりそうだが
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
アメリカとかでビッフェ形式の給食が用意されているのも、多様な食習慣のある子供が集まっているということに対応する側面もあるのかな。まあもちろんビッフェ形式は栄養が偏りやすいという問題点があるのだが。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
私は学生の頃は某大学にビーガンメニューを提供させるという趣旨のサークルに所属していて、いまでもビーガンメニューが撤廃されずに残っているみたいなのでまあサークルの目的は成功したと思うんだけど、イスラム圏の留学生も何人か関わっていたな。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
イスラエル料理屋がビーガンメニューに対応していたりとか、ハラールやコーシャーが入手するのが難し過ぎるのでベジタリアンになる、ということもあるみたいだな。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
今回の件で思い出したけど、動物福祉に関する規制が発達していて屠殺方法に対する規制が強くなった社会だと、ハラールやコーシャーが動物福祉に反するものとして問題になることがあるんだよね。https://t.co/qo1BQlERs0
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
「動物の権利、多文化主義、左派」by ウィル・キムリッカ&スー・ドナルドソン - 道徳的動物日記 https://t.co/Bpqves8EpZ 動物の権利を強めに主張する理論だと、「ハラールでもハラールでなくても肉にしているので動物の権利を侵害しているからダメ」となる訳だけど
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
ピーター・シンガーもイスラエルの新聞だかなんだかで「コーシャーは動物の福祉を侵害しているし、"肉を食わなければいけないと"とは旧約聖書には一言も書かれていないからユダヤ教徒はみんなベジタリアンになろう」みたいなことを論じていたはずだな。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
「ブルキニを禁止する?」 by ピーター・シンガー https://t.co/wx69lFxlY3 まあ移民とか多文化主義とかについては、個人的にはこういう議論が一番好ましいな。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日
私も無神論者なのでイスラム教(というか宗教全般)の様々な教義や慣習を肯定したくはないんだけど、イスラム教徒がマイノリティである国で、公的な機関とか制度とかがイスラム教の教義に対して露骨に否定的になることは、益よりも害の方が大きいだろうと思う。
— デビット・ライス (@RiceDavit) 2017年2月12日