先週から「経済学101」にて、経済学者ノア・スミスによる、主にZ世代の若者たちが唱える「終末論」について批判的に分析した記事、および若者たちの不幸の原因をスマートフォン(とソーシャルメディア)に見出す記事が、翻訳されて投稿されている。どちらも大変おもしろいのだが、あまり読まれていないようで勿体ない。
みなさん、以下の記事を読むように。
「スマホ悪玉論」といえば、記事中でも取り上げられている社会学者ジーン・トゥエンジの著書 iGen: Why Today's Super-Connected Kids Are Growing Up Less Rebellious, More Tolerant, Less Happy--and Completely Unprepared for Adulthood--and What That Means for the Rest of Us が有名。
トゥエンジの議論はグレッグ・ルキアノフとジョナサン・ハイトの『傷つきやすいアメリカの大学生たち』でも大いに取り上げられていた。
また、ノア・スミスの記事は「悲観論を唱えることが実際に及ぼすネガティブな影響」について論じていたり認知行動療法に触れていたりするという点で、おそらく『傷つきやすいアメリカの大学生たち』に影響されたものだと思われる。
なお、アメリカのZ世代たちの「絶望」や「悲観論」を日本に紹介している人として有名なのが、ライターの竹田ダニエル。
しかし、ノア・スミス(やルキアノフやハイトなど)が論じていように、極端な悲観論や終末論はそれ自体が個人のメンタルヘルスや社会問題の改善に負の影響を与えるとすれば、アメリカのトレンドを批判的な視点抜きで日本に紹介する竹田の言論も問題があるものだと言えるかもしれない。
毎日新聞にインタビュー掲載。
— 竹田ダニエル (『世界と私のA to Z』発売中) (@daniel_takedaa) 2023年1月10日
脱「アメリカの若者はすごい」論を目指すべく、いかにZ世代が絶望的な状況に置かれているのか、声を上げる「必然性」について。そして「ゆとり世代」のような単なる年齢の区分としての「Z世代」と、新たな社会常識としての「Z世代価値観」の違いなど。 pic.twitter.com/R9kBQiFa9H
この動画も本当にすごいな。「資本主義のもとで働くこと」に絶望する若者たち。人生とはなんのためのもの?上の世代のように豊かになれないし、どんどん社会も悪化していくばかりに感じる。自分の人生はいつになったら自由に生きられるの?単行本でも度々取り上げた「Z世代と働き方」が浮き彫りになる pic.twitter.com/NaAMI6DsiS
— 竹田ダニエル (『世界と私のA to Z』発売中) (@daniel_takedaa) 2023年1月29日
ブーマー世代のように裕福になれないし、社会も崩れゆく一方。いつロックダウンになるかも、大不況になるかも、銃撃で死ぬかもわからない。お先は真っ暗。しかし子供の頃から絶望を抱える苦しさを、大人は理解できるはずがない。アメリカのZ世代が"Gen Z"という自称を掲げるのにはそういう理由がある。
— 竹田ダニエル (『世界と私のA to Z』発売中) (@daniel_takedaa) 2023年2月13日
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