道徳的動物日記

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「Z世代の絶望」を真に受ける必要はあるのか?

 

 先週から「経済学101」にて、経済学者ノア・スミスによる、主にZ世代の若者たちが唱える「終末論」について批判的に分析した記事、および若者たちの不幸の原因をスマートフォン(とソーシャルメディア)に見出す記事が、翻訳されて投稿されている。どちらも大変おもしろいのだが、あまり読まれていないようで勿体ない。

 みなさん、以下の記事を読むように。

 

note.com

 

note.com

 

スマホ悪玉論」といえば、記事中でも取り上げられている社会学ジーン・トゥエンジの著書 iGen: Why Today's Super-Connected Kids Are Growing Up Less Rebellious, More Tolerant, Less Happy--and Completely Unprepared for Adulthood--and What That Means for the Rest of Us が有名。

 

 

 

 

 トゥエンジの議論はグレッグ・ルキアノフとジョナサン・ハイトの『傷つきやすいアメリカの大学生たち』でも大いに取り上げられていた。

 

 

 

gendai.media

 

 また、ノア・スミスの記事は「悲観論を唱えることが実際に及ぼすネガティブな影響」について論じていたり認知行動療法に触れていたりするという点で、おそらく『傷つきやすいアメリカの大学生たち』に影響されたものだと思われる。

 

 なお、アメリカのZ世代たちの「絶望」や「悲観論」を日本に紹介している人として有名なのが、ライターの竹田ダニエル。

 しかし、ノア・スミス(やルキアノフやハイトなど)が論じていように、極端な悲観論や終末論はそれ自体が個人のメンタルヘルスや社会問題の改善に負の影響を与えるとすれば、アメリカのトレンドを批判的な視点抜きで日本に紹介する竹田の言論も問題があるものだと言えるかもしれない。

 

 

 

 

 

絶望 @daniel_takedaa - Twitter Search / Twitter