道徳的動物日記

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近況報告(引っ越し、猫を飼い始め、結婚、身内の不幸、コロナ罹患、異動など)

 

davitrice.hatenadiary.jp

 

 昨年末にも挨拶記事を書いていたし、SNSを辞めてからは日々の生活や状況を書く場所がなくなったからわたしの近況が気になる人もいるだろうし(いるよね?)、今年1年のわたしの生活の変遷や最近の状況についてここで書いておこう。

 

 とりあえず時系列順に箇条書きすると以下のような感じ。

 

  • 1月:母親のガンについて知らされる
  • 2月:母親の見舞いに京都まで行く、付き合っている恋人との結婚前提の同棲(とそのための引っ越し)を決意
  • 3月:引っ越し準備、確定申告
  • 4月:2021年まで働いていた会社に正社員として復帰(2022年内は業務委託契約で働いていた)、四谷から赤羽に引っ越し
  • 5月:学会で発表、妻と熱海旅行
  • 6月:ロフトでイベント、保護猫の譲渡会に参加、母親の見舞いに京都まで(ついでに松坂へも行く)
  • 7月:譲渡された保護猫を飼い始める、猫の夜泣きが激しく睡眠不足、猛暑で夏風邪をひいてダウン、市役所に行って入籍届を提出
  • 8月:母親が死去したので葬儀のために京都へ、忌引き休暇と夏季休暇が組み合わさって長めの夏休み
  • 9月:母親の死亡に伴う諸々の手続きのために京都へ(ついでに奈良まで行く)、納骨式に参加するためにまた京都へ行ったら直後にコロナが発症して参加できず
  • 10月:前半はコロナの後遺症でダウン、後半は妻と那須まで旅行
  • 11月:婚姻休暇を使用して長めの休暇、三島に一人旅
  • 12月:年明けから部署異動になるので現部署の残りの仕事を消化し続ける日々

 

 ……というわけで、例年になくライフイベントが多く、環境の変化が多い一年となった。充実していたといえばしていたのかもしれないが、リモートワークがメインとはいえ平日は毎日働いているなかで諸々の出来事が起こったり体調不良になったりするのはかなりしんどい。来年からの異動先の部署は出社が主となり残業も多そうなので、プライヴェートの面ではもうすこし穏やかかつ健康に過ごしたいと思う。

 新婚生活についてはまあ良し悪しというところ。飼い猫については夜泣きが収まったのでだいぶ飼いやすくはなった。

 母親についてはガンが発覚してからは進行が早く、まだ比較的若い年齢なのにあっという間に亡くなってしまった。そして、夫婦生活や飼い猫のことや仕事などの悩み事がピークに達していた時期に亡くなられたので、こちらとしては頭がいっぱいというか「それどころではない」という状態で、十分に悼んだり喪に服したりすることができなかったことがいまでも心残りになっている。

 京都の実家に残っている父親についても、今後は「妻に先立たれた高齢男性」にありがちな問題が起こりそうで不安なところだ。家事は夫婦で分担していて料理などもしていたので生活能力には問題がないのだが、職場と家族以外にコミュニティはないようだし、友人や会話できる相手も母親に比べると父親のほうがずっと少ないので、今後は寂しさや孤独にどう対処するかというのが課題になるのだろう。

 そもそも父親は母親に比べると日本語があまり得意でないということもあり、母親の死亡に伴う契約変更や役所関係・相続関係の手続きのかなり多くを手伝わされることになった。また、実家では複数の猫を飼っているので、もし父親にも健康上の問題が起こったときに実家の猫たちをどうするかという問題もずっと頭をちらついている。かといって京都に戻るのはわたしの職種的にも他の諸々の事情からも困難だし…。

 

 母親の見舞いや父の将来のこと、妻や飼い猫のことを考えると、このブログでもこれまで取り上げてきたような「ケア」論の問題意識が身に沁みて感じられることはたしかだ。

 コロナ禍の前はリモートワーク自体が当たり前のことはなかったから昔に比べるとだいぶ状況は良くなっているし、仕事やタスクの内容によっては出社したほうがずっと能率が良くなったりそもそも家では行うことが不可能だったりするという面もあるのだが、それはそれとして、会社員として賃労働することには、本質的に、人生における大事な物事を蔑ろにさせられるというところがあるのだろう(とくに日本企業で経営者になったり管理職として出世できたりするタイプの人ほど、仕事や金儲けに楽しさを感じる代わりにプライヴェートや生活は大事に思っておらず、そしてルールやシステムを決定するのは経営者であったり出世した管理職であったりするので、プライヴェートや生活が尊重されない状況が出来上がる……という構図にもなっているだろう)。

 

会社員として働きつつ諸々の出来事に直面したり夏風邪やコロナになったりしたおかげで、時間的・精神的・体調的にまったく余裕がなくなり、今年は作家業のほうの仕事はほとんどできなかった。最後の仕事は新宿ブックファーストのフェア「名著百選」で推薦文を書いたというもの。

 

 

davitrice.hatenadiary.jp

 

 コロナの後遺症であるブレインフォグの症状がしばらく残っていたことも大きい。結婚している以上は土日だからといって妻のことを無視して執筆し続けるわけにもいかないし、わたしとしても平日は仕事で疲れているのだから休日は妻や友人と遊びに行ったり旅行に行ったり休養したりしたい。2021年以前は早起きして早朝に執筆することで会社員と作家業をなんとか両立できていたのだが、今年はあまりに疲れることが多かったり猫の夜泣きや夏風邪にコロナの影響などで出社日以外に早朝に起きることがぜんぜんできなくなってしまった。……来年からは出社日が増えるにつれて生活リズムはいやでも改善されると思うけれど、仕事はさらに忙しくなるので執筆に避ける余裕をどこまで保てるか、という不安もある。

 2冊目の単著の執筆も今年は停止していたが、なんとか来年内に出版する予定だ(編集者からも「そろそろ仕上げてもらわないとマズい」と釘を刺されていることだし)。次の本を出せるならその前後に雑誌記事やWeb記事の依頼もまた来るだろう。……とはいえ、ベストセラーにもならない限り、作家業で得られる収入は会社員として働くことで得られる収入に比べると微々たるものであるというのがつらいところだ。執筆にせよ、学会への参加やトークイベントの準備などにせよ、妻からすれば「趣味」や「遊び」だと思われているようで非協力的な態度を取られるのだが、実際問題として収入やキャリアに直結しないという点で「仕事」と言えるほどのものでもないのもたしかだから、こちらとしても強い態度はとれない。

 本を書くほうではなく読むほうにしても、今年はやはり停滞してしまった。……それでも一般的な社会人の何倍もの本は読んでいるだろうし、また数年前に上京して会社員を始めた時期に比べると読書に割ける時間はずっと安定して確保できるようになっているのだけれど、それでも「これでは足りない」と思ってしまう。2冊目やそれ以降に執筆する予定の単著の参考文献やネタ元にするために読み続けているというところもあるが、それ以上に、今年は自分の精神的な健康を保つために読書をしているという面が強かった。

 会社員としての仕事を始めてからも前半は洋書も多少は読むことができていたが、徐々に忙しくなったり余裕がなくなったりしていったので、後半からは新書本を読んだりVery Short Intoductionシリーズの翻訳を読んだりするのがメインになっていった。社会人としての仕事や家事に忙殺されていたりテレビ番組ばかり見たりしているとどうしても世俗的で短絡的な考え方や発想に毒されていくので、いろいろな学問分野の良質な入門書を読んでそれをまとめた読書メモを定期的に執筆することで思考のデトックスを行なっていたという感じだ(手に取った本の内容がしょうもないときには逆効果にもなっていたけど)。本を手に取ったらできるだけ最後まで読み終えてブログに記事を書くようにしているのだが(そうしなければ本の内容をきちんと理解したり消化したりしたという感覚を得ることができない)、そうなると一冊の本あたりにかかる日数は長くなるし、週末に遊びやお出かけの予定が重なったら新書を読むのもままならない。当然のことながら学術書を読むのはさらに大変であり、11月の長期休暇に読み始めたヌスバウムの『感情と法』もいまだに読み終えられていない。読むだけでなく書くスピードも遅くなっていて、これはコロナの後遺症がいまだに後を引いている可能性もあるだろうし、読んだり書いたりすることが当たり前だった状況から離れたことで慣れや勘所が失われているというのもあるだろう。

 

 ……と、ネガティブな話題ばかりになってしまったが、ポジティブな話題としては、この一年で金銭的にはそれなりに余裕ができたというのがある。当たり前のことだが、会社員として働くことで定期的に給与をもらえたりボーナスをもらえたりするようになったからだ。コンビニまで行って保険料や税金を自分で納める必要がなくなったのは金銭的だけでなく精神的にもプラスになる。また、引っ越しには金がかかったが、二人で暮らし始めると家賃だけでなく光熱費や食費やネット料金なんかも折半になることの影響は想像していた以上にデカかった。おかげで旅行も行きやすくなったし記念日の出費にもそこまでつらさを感じないようになった。

 とはいえ、一般的な30代の男性の平均から見ると貯金の金額はいまだにカスみたいなものである。というわけで、この一年間いろいろ大変だったことなので、クリスマスプレゼントがてらにご支援を募集します。以下のAmazonほしい物リストから飲料でも薬でも本でもなんでもいいのでなんか買ってください(Twitterをやっていた頃は定期的に支援してもらえていたが最近はすっかりなくなっちゃった)。「本が読めなくなった」という話をしておいて本を希望するのもヘンな話だけど、そのうち読書の習慣も取り戻せるでしょう。

 

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