道徳的動物日記

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2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

選挙制のエリート主義、抽選制と熟議民主主義(読書メモ:『選挙制を疑う』)

選挙制を疑う(サピエンティア) (サピエンティア 58) 作者: ダーヴィッド・ヴァン・レイブルック,岡?晴輝,ディミトリ・ヴァンオーヴェルベーク 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2019/04/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 最近は感想…

動物に関する文化人類学の議論の有害性について

今回書くことは数年来考えてきたことであり、これまでにもTwitterなどでぶつぶつと文句は言ってきたのだが、まとまった文章を書くタイミングはなかった。 しかし、先月に文化人類学者の奥野克巳氏(以下敬称略)がアップした「分別と無分別の間で ~動物解放…

義務論と帰結主義のすれ違い?

「倫理学入門」的なタイトルが付けられた本や授業では、規範倫理について紹介する際には、「倫理学の代表的な理論としては帰結主義(功利主義)と義務論がありまして、この二つの理論は対立するものとして見られておりますが、また別の角度から道徳を論じる…

反出生主義は女性差別?

生まれてこない方が良かった―存在してしまうことの害悪 作者: デイヴィッドベネター,David Benatar,小島和男,田村宜義 出版社/メーカー: すずさわ書店 発売日: 2017/11/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 先日に聴きに行った、学習院大…

村上春樹「ヒエラルキーの風景」、受験制度についての雑感

やがて哀しき外国語 (講談社文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/02/14 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 29回 この商品を含むブログ (115件) を見る 高校生の頃から村上春樹にはまっていて、小説だけでなくエッセイも多々読んだ。…

私が"議論"が嫌いな理由

ひとくちに議論と言っても色々とあるだろうが、私には世の中で行われている議論というものはおおむね2種類に分かれているように思える。ひとつは、議論に参加している双方がお互いのことを対等に見なしており、互いがどう思っているかを明らかにしたり相互…

「"女性の上昇婚志向"論」についての雑感

このブログではこれまでにも何度かジェンダー論について話題にしてきたし、ジェンダーや恋愛に関して論じた本についての読書メモなども残している*1。また、ブログには取り上げなくても、進化生物学や社会科学などの観点から男女論や恋愛論や結婚制度などに…