哲学
出勤前の短い時間なのでメモ的な記事。 www.project-syndicate.org 昨年の11月に倫理学者のピーター・シンガーが書いたコラム。イ ーロン・マスクがTwitterを買収したことに言及しながら、自身が編集委員をやっている雑誌 Journal of Controversial Ideas …
ケアの倫理と共感 作者:マイケル・スロート 勁草書房 Amazon この本は邦訳の発売直後、2021年の年末に当時もらった図書カードで購入済だったのだが積んでいたところ、先日の日本哲学会のワークショップに向けて、『もうひとつの声で』に続いて読んだ、という…
ノージック―所有・正義・最小国家 作者:ジョナサン ウルフ 勁草書房 Amazon 政治哲学者ロバート・ノージックの思想について、『アナーキー・国家・ユートピア』を中心に解説する本。 ノージックといえばリバタリアニズム(自由尊重主義)を正当化する思想を…
もうひとつの声で──心理学の理論とケアの倫理 作者:キャロル・ギリガン 風行社 Amazon 言わずとしれた、「ケアの倫理」を最初に提唱した元祖的な本。このブログの以前の記事でねだったら購入してもらえましたので読みました*1。また、この本を読むために、批…
The Ethics of Capitalism: An Introduction (English Edition) 作者:Halliday, Daniel,Thrasher, John Oxford University Press Amazon さきほどの記事で書いたように、この4月は引越しに伴う作業と会社の仕事とでなかなか読書・執筆の時間が取れなかった…
歴史の終わり〈上〉 作者:フランシス フクヤマ 三笠書房 Amazon 歴史の終わり〈下〉「歴史の終わり」後の「新しい歴史」の始まり 三笠書房 Amazon フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』は数年前にも読んで感想を書いているが、『IDENTITY 尊厳の欲求と憤…
道徳性の発達と道徳教育 作者:ローレンス・コールバーグ,アン・ヒギンズ 麗澤大学出版会 Amazon 「ケアの倫理」を最初に提唱したキャロル・ギリガンの『もうひとつの声で』の批判対象として有名な……というか、哲学・倫理学界隈では「ギリガンに批判された人…
アニマル・スタディーズ29の基本概念 平凡社 Amazon 第22章「権利」の著者は政治哲学者のウィル・キムリッカと哲学者のスー・ドナルドソン。『人と動物の政治共同体:「動物の権利」の政治理論』を執筆した夫婦であり、このブログでは二人の著書や論文も何…
アニマル・スタディーズ29の基本概念 平凡社 Amazon 第29章「ウェルフェア」の執筆者はクレア・パルマーとぺテル・サンデュ。どちらも倫理学者であり、前者についてはこのブログでも過去に何度か取り上げている。また、両者はコンパニオン・アニマルの倫理…
アニマル・スタディーズ29の基本概念 平凡社 Amazon 第20章「理性」の執筆者は、カント主義の哲学者クリスティン・M・コースガード。なかなか難しい内容であった。 義務とアイデンティティの倫理学 規範性の源泉 作者:クリスティーン・コースガード 岩波…
アニマル・スタディーズ29の基本概念 平凡社 Amazon 本書の編者でもある倫理学者のローリー・グルーエンは、第9章「共感」を執筆している。 この章の議論はグルーエンの単著 Entangled Empathy: An Alternative Ethic for Our Relationships with Animals …
アニマル・スタディーズ29の基本概念 平凡社 Amazon 先日に発売された『アニマル・スタディーズ 29の基本概念』を図書館で入手してきたので(とても個人で購入できるような値段ではない)、気になる章をいくつか読んで読書メモを取っていく。 まずは、倫理学…
フェミニストの理論 作者:ジョゼフィン ドノヴァン 勁草書房 Amazon davitrice.hatenadiary.jp 先日に英語論文を読んだジョゼフィン・ドノヴァンが1985年に書いた単著の『フェミニストの理論』がAmazonで安く売っていたので、せっかく論文を読んだのというの…
An Introduction to Animals and Political Theory (The Palgrave Macmillan Animal Ethics Series) (English Edition) 作者:Cochrane, Alasdair Palgrave Macmillan Amazon 先日に引き続き、「フェミニズムと動物倫理」というテーマでお勉強。 今回は政治哲…
The Feminist Care Tradition in Animal Ethics: A Reader Columbia University Press Amazon Animal Rights and Feminist Theory - JSTOR 唐突に思われそうだが、本日から一時的に動物倫理に関する文献を読んで読書メモをここに書くターンに突入する。……と…
現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社 Amazon 大学生から大学院一年生の頃までのわたしはいっちょまえに「哲学」や「思想」に対する興味を抱いており、哲学書そのものにチャレンジすることはほとんどなかったが、様々な入門書は読み漁ってい…
哲学の門前 作者:吉川浩満 紀伊國屋書店 Amazon 著者の吉川浩満さんには文筆家としてのデビューするきっかけをいただいており、その後も編集者を紹介していただいたり『21世紀の道徳』や次作の執筆の打ち合わせにも毎回のように参加していただいてもらったり…
平等主義の哲学: ロールズから健康の分配まで 作者:巌, 広瀬 勁草書房 Amazon 「運の平等主義」についてはロナルド・ドウォーキンの『平等とは何か』の読書メモ記事でも紹介しているが、広瀬巌の『平等主義の哲学』の第二章でもドゥウォーキンとそのフォロワ…
布団の中から蜂起せよ: アナーカ・フェミニズムのための断章 作者:高島 鈴 人文書院 Amazon 表題にもなっている、第4章の「布団の中から蜂起せよーー新自由主義と通俗道徳」から引用。著者(高島)が博士後期課程に進学した直後に鬱病になった、というくだ…
自由意志対話:自由・責任・報い 作者:ダニエル C デネット,グレッグ D カルーゾー 青土社 Amazon 非両立論-楽観的懐疑論者のグレッグ・カルーゾーと両立論者のダニエル・デネットが論争する本*1。訳者あとがきでも指摘されているように両者の議論はかなり細…
そうしないことはありえたか?: 自由論入門 作者:高崎将平 青土社 Amazon 「自由意志は存在するか否か」と言われたら、わたしを含めた多くの人が、「事実」に関する問題だと思うだろう。……つまり、自由意志というものがこの世界には「ある」のか「ない」のか…
アゲインスト・デモクラシー 下巻 作者:ジェイソン・ブレナン,井上彰,小林卓人,辻悠佑,福島弦,福原正人,福家佑亮 勁草書房 Amazon 一昨日の記事が長くなったので、残りは駆け足で紹介。 ●エピストクラシー(選良政治論)は「理想理論」か「悲理想理論」か? …
アゲインスト・デモクラシー 上巻 作者:ジェイソン・ブレナン 勁草書房 Amazon 著者であるジェイソン・ブレナンの議論については、過去に下記の翻訳記事で紹介している。 davitrice.hatenadiary.jp この記事ではやや変則的だが、本書の4章と5章の内容を先…
リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書) 作者:田中拓道 中央公論新社 Amazon ●ワークフェア競争国家 「ワシントン・コンセンサス」は、「底辺への競争」論とともに、新自由主義が世界を席巻しつつあることの象徴として語られてきた。…
世界最先端の研究が教える すごい哲学 総合法令出版 Amazon 献本してもらったので読んだ。十数人以上の若手日本人哲学者が「サステナブルなファッションを選ぶにはどうしたらいいか?」や「小説を読むことで人はやさしくなれるのか?」といった具体的かつ詳…
平等とは何か 作者:ロナルド・ドゥウォーキン 木鐸社 Amazon もし保険というものが利用可能だとすれば、これは自然の運と選択の運を連結する役目を果すことになるだろう。というのも、災害保険に入ったり、これを拒否することは計算された賭けと言えるからで…
平等とは何か 作者:ロナルド・ドゥウォーキン 木鐸社 Amazon コメントが思い浮かばないので写経。 ●人生の意味の挑戦モデル ある人の生の影響力はその人の生が世界の客観的な価値に対してもたらす変化である。誰の生が善き生であるかについての我々の判断に…
平等とは何か 作者:ロナルド・ドゥウォーキン 木鐸社 Amazon 11月から読み始めたのだが、オンライン記事や書評の依頼が重なったり年末年始に遊び過ぎたりしていて、読み終えるのに二ヶ月かかってしまった ちなみに、ここで紹介する責任論や「運の平等主義」…
「社会正義」はいつも正しい 人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて 作者:ヘレン プラックローズ,ジェームズ リンゼイ 早川書房 Amazon 早川書房から翻訳が出版された作家のヘレン・プラックローズと数学者のジェームズ・リンゼイの共著…
リベラルな徳―公共哲学としてのリベラリズムへ 作者:スティーヴン マシード 風行社 Amazon ジョン・ロールズの『正義論』のような、リベラリズムに関する議論への基本的な忠誠は、それ自体が広く認識され、需要されうる理性的議論であるという事実においては…