道徳的動物日記

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VSI, 入門書

インターネット時代におけるマスメディアの必要性(読書メモ:『マスメディアとは何か 影響力の正体』)

マスメディアとは何か 「影響力」の正体 (中公新書) 作者:稲増一憲 中央公論新社 Amazon マスメディアを研究する分野といってもさまざまにあるだろうが、本書の内容は「マスメディアが人々にもたらす影響をデータを用いて科学的に検証する研究分野」である「…

感情の普遍性と合理性(読書メモ:『一冊でわかる 感情』)

感情 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者:ディラン エヴァンズ 岩波書店 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『法哲学』、『マルクス』、『古代哲学』、『懐疑論』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 当たり外れも…

反共同体主義としてのリバタリアニズム(読書メモ:『自由はどこまで可能か』)

自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書) 作者:森村 進 講談社 Amazon タイトル通り、思想や哲学としてのリバタリアニズムの入門書。 本書の初版は2001年ともう20年以上前であるし、わたしが本書を最初に読んだのも学部生だったときだ。…

最近読んだ本シリーズ:『体育がきらい』&『サイエンス超簡潔講義 動物行動学』&『サイエンス超簡潔講義 うつ病』

●『体育がきらい』 体育がきらい (ちくまプリマー新書) 作者:坂本拓弥 筑摩書房 Amazon 著者は大学で体育やスポーツを教えており、また「体育哲学」という研究を行なっているそうだ。本書で哲学っぽいことが書かれるのは終盤になってからだが、身体を通じて…

読書メモ:『フェミニズムズ:グローバル・ヒストリー』(+『はじめてのフェミニズム』補足)

フェミニズムズ――グローバル・ヒストリー 作者:ルーシー・デラップ 明石書店 Amazon 本書の目的や、本書における「フェミニスト」や「フェミニズム」の定義は下記の通り。 本書ではフェミニストおよび活動家の女性たちとナショナリズム、宗教教義、帝国主義…

読書メモ:『なぜ美を気にかけるのか :感性的生活からの哲学入門』&『近代美学入門』

なぜ美を気にかけるのか: 感性的生活からの哲学入門 作者:ドミニク・マカイヴァー・ロペス,ベンス・ナナイ,ニック・リグル 勁草書房 Amazon 『なぜ美を気にかけるのか』は美学の入門書でもあるが、そのなかでも「美的価値」や「美的感性」「美的生活」の問題…

読書メモ:『人生の意味とは何か』

人生の意味とは何か (フィギュール彩) 作者:テリー イーグルトン 彩流社 Amazon Very Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ(カテゴリを新設しました)。 U -NEXTの余っていたポイントを使ってビル・ナイ主演の『生きる LIVING』を観たと…

読書メモ:『哲学がわかる 懐疑論:パラドクスから生き方へ』

『福祉国家』、『ポピュリズム』、『法哲学』、『マルクス』、『古代哲学』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 哲学がわかる 懐疑論──パラドクスから生き方へ 作者:ダンカン・プリチャード 岩波書店 Amazon 本書の冒…

読書メモ:『一冊でわかる 古代哲学』&『哲学がわかる 中世哲学』

古代哲学 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者:ジュリア アナス 岩波書店 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 『一冊でわかる 古代哲学』の…

読書メモ:『14歳から考えたい レイシズム』&『14歳から考えたい セクシュアリティ』&『14歳から考えたい 優生学』

『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 今回はすばる舎から出ている『14歳から考えたい』シリーズのうち3冊を一気に流し読みしたので、ごく短い感…

読書メモ:『市民的抵抗:非暴力が社会を変える』

市民的抵抗:非暴力が社会を変える 作者:エリカ・チェノウェス 白水社 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』、『貧困』と、最近のこのブログではVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介し続けているが、今回…

読書メモ:『一冊でわかる デモクラシー』&『啓蒙とはなにか:忘却された〈光〉の哲学』

『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』、『貧困』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第七弾。ただし今回紹介する『デモクラシー』と『権威主義』はどっちもあまり良い…

読書メモ:『14歳から考えたい 貧困』

14歳から考えたい 貧困 (A Very Short Introduction) 作者:フィリップ・ジェファーソン すばる舎 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介…

ピーター・シンガーによるマルクス論(読書メモ:『マルクス』)

マルクス ピーターシンガー/著 重田晃一/訳 ノーブランド品 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第五弾。 1989年発行のこの本はAmazon…

フェミニズムの理論をバランスよく(※)紹介する本(読書メモ:『はじめてのフェミニズム』)

はじめてのフェミニズム (ちくまプリマー新書) 作者:デボラ・キャメロン,向井和美 筑摩書房 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第五弾………

解釈としての法(読書メモ:『一冊でわかる 法哲学』)

法哲学 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者:レイモンド・ワックス 岩波書店 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第四弾。今回は『法哲学』である。 『一…

読書メモ:『移民をどう考えるか:グローバルに学ぶ入門書』

移民をどう考えるか: グローバルに学ぶ入門書 作者:カリド・コーザー 勁草書房 Amazon 一昨日の『福祉国家』、そして昨日の『ポピュリズム』に並んで、オックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第三弾。今回は『移民』…

ポピュリズムとリベラル・デモクラシー(読書メモ:『ポピュリズム デモクラシーの友と敵』

ポピュリズム:デモクラシーの友と敵 作者:カス・ミュデ,クリストバル・ロビラ・カルトワッセル 白水社 Amazon 昨日の『福祉国家』に引き続き、オックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第二弾*1。 ポピュリズムとはそ…

なくてはならない福祉国家(読書メモ:『福祉国家 救貧法の時代からポスト工業社会へ』)

福祉国家:救貧法の時代からポスト工業社会へ 作者:デイヴィッド・ガーランド 白水社 Amazon 最近はプライベートがバタバタしていて本を読む時間をじっくり取ることも難しく、また文章を書けるタイミングもなかなかないのだが、ナントカ合間合間に時間を捻出…

これから翻訳が出てほしいVery Short Introduction(+α)の一覧

kozakashiku.hatenablog.com 先日にくちなしさん(id:kozakashiku)がイギリスはオックスフォード大学出版会のVery Short Introductionシリーズの邦訳を一覧の形でまとめてくれるという実に有益な記事を公開してくれたが、今回の記事は、わたしがVery Short I…

「政治」は「法」よりも重要か?(読書メモ:『哲学がわかる シティズンシップ』)

哲学がわかる シティズンシップ: 民主主義をいかに活用すべきか 作者:リチャード・ベラミー 岩波書店 Amazon シティズンシップ(Citizenship) という単語は様々に訳せられる言葉であり、単に「市民であること」を意味する場合もあれば、「市民権」「公民権…