道徳的動物日記

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これから翻訳が出てほしいVery Short Introduction(+α)の一覧

 

 

kozakashiku.hatenablog.com

 

 先日にくちなしさん(id:kozakashiku)がイギリスはオックスフォード大学出版会のVery Short Introductionシリーズの邦訳を一覧の形でまとめてくれるという実に有益な記事を公開してくれたが、今回の記事は、わたしがVery Short Introductionの既刊・続刊リストやその他の同様の英語圏入門書シリーズのリストを眺めながら「これも邦訳が出たらいいのになあ」「これも翻訳がほしいなあ」とダラダラ思った本を適当に紹介していくという無益な内容。ほとんどは原書を読んだり著者のことを知ったりしているわけでもなく、タイトルだけで判断したものだ。

 

『一冊でわかる 幸福』

 

 

 

 

『一冊でわかる 徳』

 

 

『一冊でわかる 愛』

 

 

『一冊でわかる 悪』

 

 

『一冊でわかる 無』

 

 

 

 幸福や徳や愛や悪や無について一冊でわかったらすごいと思ったので。

 

 ちなみに過去にはVery Short Introductionシリーズの多くは主に岩波書店から「一冊でわかる」シリーズとして出されていたのが、最近は理数系のトピックだと丸善出版「サイエンス・パレット」シリーズの一部として出たり、サヨクっぽいトピックはすばる舎から「14歳から考えたい」シリーズとして出ていたりするようになっているうえに、近頃では岩波書店も「哲学がわかる」という中途半端に昔を引きずった名前のシリーズを新たに出している。それも表紙の体裁が途中から変わったり、『シティズンシップ』という哲学っぽくないのもシリーズに含まれる一方でど真ん中の哲学理論である『功利主義』もシリーズから除外されるなど、いかにも一貫性がなくて腰が据わっていない*1。まあシリーズ名や表紙に装丁なんて所詮はガワであるし翻訳さえしっかりしていればそれでいいのかもしれないが、いずれの本も「世界的に定評のある入門書シリーズ」の一冊であるということがわかりづらくなるのはやっぱりよくないと思う。

 ついでに言うと「一冊でわかる」というシリーズ名はインパクトがあって覚えやすいし、実際に読んでみると全然一冊でわからなかったりするというところがご愛嬌という感じでむしろ好ましかったりしたので、このシリーズ名がなくなったのはやっぱり惜しい。テリー・イーグルトンのやつも(そもそも出版社が違うけど)『一冊でわかる 人生の意味』というタイトルだったらもっと売れたんじゃないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほかにもVery Short Introductionで気になっているタイトルとしては、以下のようなもの。

 

 

  マリア・シェクトマン(Marya Schechtman)の『一冊でわかる 自我』。シェクトマンは動物倫理やパーソン論の文脈でも参照されるような哲学者だ。

 

 

 

『一冊でわかる ストア哲学』。ストア哲学の入門書は意外と少ないような気がする。

 

 

 

 

 

無神論』『世俗主義』そして『(宗教的)冒涜』。ここら辺は相互に関連しているのでまとめて出してほしい。

 

 なお、ネルソン・マンデラジェイン・オースティンソクラテスと、Very Short Introductionからは個人単位の本も多く出版されているのだが、たとえば最近に読んだJ・S・ミルのが微妙だったりしたので割愛*2。また、法律関係や政治制度関係のものも細かいトピックのが出ていて興味深くはあるのだが、イギリスやアメリカに住んでいない日本人にとっては縁遠いものであるだろう。

 

(2024/4/14追記:『一冊でわかるハーバーマス』が実にわかりやすくて充実していて良かったので、特定の思想家をテーマにしたものでも面白いやつもあるんだな、と考えを改めた。伝記ベースではなく、思想や理論の内容をトピックごとに具体的に解説したものが良さそうだ。というわけで『ハンナ・アーレント』や『アドルノ』の翻訳を希望します。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、白水社からはVery Short Introductionからのと同じくオックスフォード大学のWhat Everyone Needs To Knowシリーズからの翻訳が、似たような表紙・装丁でまとまって出されている(翻訳にあたってとくにシリーズ名が定められているわけでもなさそうだ)。このシリーズはわたしがこのあいだ読んだ『福祉国家』にせよいま読んでいる『ポピュリズム』にせよどちらも面白く、打率が高いというか、厳選して出版している感じがする。傾向としては政治学や社会科学に関連するものが多いだろうか。

 

 

 

 

 

 

 What Everyone Needs To KnowはVery Short Introductionよりもページ数が長く、章や節の数も多くて「一冊でわかる」度はむしろVery Short Introductionよりも高い。また、著者の主張や意見がより強く出ているイメージがある。わたしが読んだことのあるものとしては『動物の権利』と『リバタリアニズム』だが、どちらもなかなか参考になった。

 

 

 

 

 

 

 日本でとくに需要がありそう(?)なのは『ユニバーサルベーシックインカム』。あと『ビジネス倫理』や『スポーツ倫理』も手頃な翻訳本がないから良さそうだ。

 

 

 

 

 

 個人的には『言論の自由』や『キャンパス・ポリティクス』も興味あるんだけどマニアック過ぎるか。

 

 

 

 

 同シリーズからの翻訳は白水社のもの以外でもジェームス・ガルブレイスの『不平等』があるようです。

 

 

 オックスフォード以外の大学の入門書シリーズとしてわたしがチェックしているのは、ルートレッジのThe Basics シリーズ。このシリーズからの邦訳としては以下のようなもの。

 

 

 

 

 先日に紹介した『リベラリズム』もぜひ翻訳が出てほしい。

 

 

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 わたしの興味関心的には『動物倫理』『進化心理学』『資本主義』『自我とアイデンティティ』『人種とエスニシティ』の翻訳をキボンヌ。

 

 

 

 

 

 

 

 このように本が大好きなわたしなので、いつものごとくAmazonのほしいものリストからなんか本を買ってくれたらうれしいです。今回紹介した本のなかでわたしがまだ読んでいないのもリスト内に入っています。なお、このブログでは基本的にアフィリエイトをやっていないので(ごく古い記事にはショボいアフィリエイトのリンクが貼ってあったりする)、この記事内で紹介した本もこの記事内のリンクから購入すればわたしにもご利益がある……なんてことはありません。アフィリエイトをやらないのはこのブログの公益性とか誠実性を維持するためのポリシーです(ごく古い記事にショボいアフィリエイトのリンクが貼ってあったりするのはあまりに貧乏な時期だったためにポリシーを捻じ曲げたからです)。

 

 

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*1:『哲学がわかる シティズンシップ』自体はいい本でした。

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*2:

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