道徳的動物日記

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2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

読書メモ:『金持ち課税:税の公正をめぐる経済史』

金持ち課税 作者:ケネス・シーヴ,デイヴィッド・スタサヴェージ 発売日: 2018/06/09 メディア: 単行本 公正さには多くの異なる意味があるだろうが、課税における公正さには共通する特徴がひとつある。それは、人びとは平等に扱わなければならないという考え…

読書メモ:『BOYS 男の子はなぜ「男らしく」育つか』

ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか 作者:レイチェル・ギーザ 発売日: 2019/03/01 メディア: Kindle版 男性たちが持つ「男らしさ」は先天的に備わっているものではなく、社会関係やメディア表象などを通じて後天的に身に付くものである、ということ…

道徳や規範を認識できない人たちについての省察

note.com みんなが批判している通りの酷い内容の記事である。特に以下の箇所がヤバい。 フェミニストという言葉はネットのごく一部の界隈でしか聞いたことがないので一体どこのイベントなのかと純粋に興味がありました。僕が参加するイベントでは一度も聞い…

「ていねいな暮らし」のなにが悪い?

www.webchikuma.jp 大塚英志による上記の記事は、はてブでも先日から人気記事となっておりおおむね好意的に受け止められているようだが、わたしは読んでいてモヤモヤ……というよりも「うんざり」という感情を抱いてしまった。 なので、わたしが共感するブコメ…

読書メモ:『猫の世界史』

猫の世界史 作者:キャサリン・M・ロジャーズ 発売日: 2018/03/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) 『猫の世界史』という邦題ではあるが、内容的にはどちらかというと『猫の文化史』である。猫の自然史に関する側面や猫と産業や経済の関係性についての記述…

ネオリベラリズムとしてのエロティック・キャピタル

エロティック・キャピタル すべてが手に入る自分磨き 作者:キャサリン・ハキム 発売日: 2012/03/03 メディア: 単行本(ソフトカバー) 数年前に読んだ本であるが、思うところあって改めて再読。 「すべてが手に入る自分磨き」という邦訳版オリジナルの副題は…

読書メモ:『経済政策で人は死ぬか?:公衆衛生学から見た不況対策』

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策 作者:デヴィッド スタックラー,サンジェイ バス 発売日: 2014/10/15 メディア: 単行本 邦訳が出たのは6年前であるが、コロナ禍により再注目されている。わたしは数年前にこの本をいちど通読していたが、…

「叩いていい存在」を叩く行為と、ネット民の幼児性について

oriza.seinendan.org 平田オリザ騒動についての雑感。 ある有名人が人の癇にさわるようなことを言う。わたし自身としてもその発言を見聞して不愉快な気持ちになり、身内との会話でその話題を出して文句を言ったり愚痴ったりすることもあれば、SNSにネガティ…

読書メモ:『日本の分断:切り離される非大卒若者たち』

日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち (光文社新書) 作者:吉川徹 発売日: 2018/04/17 メディア: 新書 内容は悪くなかったのだが、以下のような文章が頻出する点は少し気になった。 ……あなたがこの1週間の間に、仕事や私生活で会話を交わしたり…