道徳的動物日記

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2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「傷つき」と表現の自由(読書メモ:『表現の自由を脅すもの』)

gendai.ismedia.jp 昨日に公開された現代ビジネスの記事ではジョン・スチュアート・ミルの『自由論』を紹介したが、ミルと同じようなタイプの主張を現代において行なっている本である、ジョナサン・ローチの『表現の自由を脅すもの』にも目を通してみた。現…

「自由」にケチをつけるな(読書メモ:『自由の命運 : 国家、社会、そして狭い回廊』)

[まとめ買い] 自由の命運 国家、社会、そして狭い回廊 作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン Amazon もう図書館に返却してしまって読み直せないので、浅い感想をメモ的に残しておく。 『自由の命運』は経済学の本(制度論の本)であり、様々な時…

さいきん読んだ本シリーズ:『リベラルとは何か』とか

・『リベラルとは何か』 リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書) 作者:田中拓道 中央公論新社 Amazon この本はなかなか面白かった。もう図書館に返却してしまったけれど、ブログ記事にしてもよかったくらい。アメリカとヨーロッパと…

社会性の収斂進化、「社会性」は「善」であるのか?(読書メモ:『ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史』)

ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(下) 作者:ニコラス・クリスタキス ニューズピックス Amazon この本のメインの主張である「青写真(社会性一式)」に関する議論などは先日の記事で紹介したので、今回は、感想とか気に入った部分の引…

「正しい怒り」は存在するか?(読書メモ:『怒りの人類史:ブッダからツイッターまで』)

怒りの人類史 作者:バーバラ H ローゼンウェイン 青土社 Amazon 「人類史」とは書いてあるが、内容は思想史のそれ。主に西洋で「怒り」という情動とはどのようにみなされてどのように扱われてきたか、ということが論じられている。 第一部では怒りを否定する…

愛情と結婚の進化論と人類史

ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(上) (NewsPicksパブリッシング) 作者:ニコラス・クリスタキス ニューズピックス Amazon 『ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史』では、基本的には進化心理学や文化進化論などの…

経済的不平等のなにが悪いのか?(読書メモ:『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム』)

21世紀の啓蒙 上:理性、科学、ヒューマニズム、進歩 作者:スティーブン・ピンカー 草思社 Amazon 原著が出たあとに寄せられた反論に対してピンカーが行なった再反論を紹介したり*1、現代ビジネスの記事でピンカーについて書いたりしたけれど*2、『21世紀の…