文化と倫理
アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 作者:ジョーン・C・ウィリアムズ 発売日: 2017/08/25 メディア: 単行本 ●ワーキング・クラスの人種差別 カナーシーのワーキング・クラ…
アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 (集英社学芸単行本) 作者:ジョーン・C・ウィリアムズ 発売日: 2017/10/27 メディア: Kindle版 2016年の大統領選では多くの人がヒラリ…
動物愛護や動物の権利という話題に関すると、日本では「捕鯨問題」がイメージされることが多いようだ。実際、私が学生であった頃に「動物倫理や動物の権利について勉強している」と言ったときにも、「捕鯨問題についてはどういう意見を持っているんだ」と聞…
natgeo.nikkeibp.co.jp ↑ 上記の記事は本日に掲載されたものだが、この中で取り上げられているクレア・パーマーという倫理学者が書いた『Animal Ethics in Context(文脈のなかの動物倫理)』をちょうど再読していたところだった。この本の内容についてはパ…
(2018年の1月に別ブログで書いた記事だが、別ブログの方は閉鎖してしまったので再掲。この次にアップするフランシス・フクヤマの『IDENTITY 尊厳の欲求と憤りの政治』の感想記事に関係するので、このブログに再掲載することにした。) 分断されるアメリカ (…
Stay: A History of Suicide and the Philosophies Against It (English Edition) 作者:Jennifer Michael Hecht 出版社/メーカー: Yale University Press 発売日: 2013/11/01 メディア: Kindle版 この本の副題の「自殺と、それに反対する哲学の歴史」が示す…
Ethics and the Beast: A Speciesist Argument for Animal Liberation 作者:Tzachi Zamir 出版社/メーカー: Princeton University Press 発売日: 2014/11/23 メディア: ペーパーバック イスラエルの倫理学者、トサヒ・ザミール(Tzachi Zamir)の著書。とり…
Animal Rights Without Liberation: Applied Ethics and Human Obligations (Critical Perspectives on Animals) 作者:Alasdair Cochrane 出版社/メーカー: Columbia Univ Pr 発売日: 2012/09/16 メディア: ハードカバー この本の8章、"Animal and Cultrual…
卓越の倫理―よみがえる徳の理想 作者:リチャード テイラー 出版社/メーカー: 晃洋書房 発売日: 2013/10/01 メディア: 単行本 先ほどの記事でも『卓越の倫理』の感想を長々と書いたが、とりわけ印象深かった以下の箇所に関連して、自分の思うところをさらに書…
卓越の倫理―よみがえる徳の理想 作者:リチャード テイラー 出版社/メーカー: 晃洋書房 発売日: 2013/10/01 メディア: 単行本 倫理学の入門書などにおいて義務論や帰結主義とならぶ規範倫理として徳倫理学が紹介されるときは、「〜主義」を否定して「中庸」を…
Beyond Prejudice: The Moral Significance of Human and Nonhuman Animals (English Edition) 作者:Evelyn B. Pluhar 出版社/メーカー: Duke University Press Books 発売日: 1995/07/21 メディア: Kindle版 1995年に出版された動物倫理の本で、「限界…
功利主義とは何か 作者:ピーター・シンガー,カタジナ・デ・ラザリ=ラデク 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/11/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) おそらく現代の世界に現存する哲学者としていちばん有名で影響力のあるピーター・シンガーと、ポ…
ラストウォーク ―愛犬オディー最後の一年 作者:ジェシカ・ピアス 出版社/メーカー: 新泉社 発売日: 2019/02/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) 著者のジェシカ・ピアスは倫理学者で、この本以外にもペット飼育に関する倫理の本や生命倫理の本、動物の道徳…
日本社会の構造的な問題点や、日本社会で起きた事件の問題性について、海外のメディアや記者が取り上げることはめずらしくない。たとえば、ここ最近では以下のような記事が記憶にあたらしいだろう。↓ www.nytimes.com www.bbc.com toyokeizai.net そして、こ…
AI時代の労働の哲学 (講談社選書メチエ) 作者:稲葉振一郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/09/11 メディア: Kindle版 人工知能と労働の哲学、といえば「人工知能が発達してシンギュラリティを起こして人間を凌駕する存在になる」ことを前提として、…
magazine-k.jp この記事を読んで思ったことや、さいきん考え続けていることを書きなぐる。ただし、内容自体は上記の記事とはあまり関係ナシ。 上記の記事の後半では本の流通の問題や書店・本の存続そのものについての危惧が語られているが、それはおいておい…
今回書くことは数年来考えてきたことであり、これまでにもTwitterなどでぶつぶつと文句は言ってきたのだが、まとまった文章を書くタイミングはなかった。 しかし、先月に文化人類学者の奥野克巳氏(以下敬称略)がアップした「分別と無分別の間で ~動物解放…
スミス先生の道徳の授業 ―アダム・スミスが経済学よりも伝えたかったこと 作者: ラス・ロバーツ,村井章子 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2016/02/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 経済学の祖であるア…
ふだんづかいの倫理学 (犀の教室Liberal Arts Lab) 作者: 平尾昌宏 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2019/03/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 前回の記事でも言及した内容とはまた別口で、『ふだんづかいの倫理学』を読んで考えたことにつ…
記事のタイトルは、過去に自分で訳した記事のパロディ*1。 ふだんづかいの倫理学 (犀の教室Liberal Arts Lab) 作者: 平尾昌宏 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2019/03/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 先日から『ふだんづかいの倫理学』と…
otapol.com 上記の記事とか、それ以前からよく言われている「動物の権利運動は部落差別だ」的な主張に対する一般論的な反論。 多くの社会運動では、現行の社会で認められている社会制度を不当だとして、その制度に規制をかけたり撤廃したりすることが目標と…
togetter.com くどいようだが、この件に関するはてな・Twitterなどでの反応を眺めての雑感。 今回の件に限らず、動物の権利運動に対する批判としてちらほら見られるのが、「動物に権利を与えると人権という概念の理念が損なわれる」あるいは「動物に対して道…
togetter.com このTogetterに関わる論点として、数年前に要約して翻訳して紹介した ウィル・キムリッカとスー・ドナルドソンの論文「動物の権利、多文化主義、左派」から一部抜粋して紹介してみよう(手抜き記事である)。 現在、米国の動物の権利運動は「左…
www.philly.com 今回紹介するのは、Philly.comというサイトに掲載された、ペンシルヴァニア大学のロースクールの教授であるエイミー・ワックス(Amy Wax)とサンディエゴ大学法学部の特別教授であるラリー・アレクサンダー(Larry Alexander)による「ブルジ…
The Moral Arc: How Science Makes Us Better People 作者: Michael Shermer 出版社/メーカー: Griffin 発売日: 2016/01/26 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る これまでにも何度か紹介しているマイケル・シャーマーの『 The Moral Arc: H…
togetter.com 上記のTogetterは2016年のものだが、なぜか最近になってブクマが集まっているようだ。このTogetterの内容は基本的には「アニマルライツは宗教よりも重要ではない」と考えているまとめ主が自身の見解や自身に近い見解を持つ人の主張をまとめ…
今日は『American Grace: How Religion Divides and Unites Us(アメリカの恩寵:宗教はアメリカ人をいかに分断していかに結び付けているか)』について軽く紹介しよう。この本はロバート・パットナムというデビッド・キャンベルという二人の政治学者の共著…
www.samharris.org 今回紹介するのは、心理学者哲学者・神経科学者のサム・ハリス(Sam Harris)が自著『Moral Landscape: How Science Can Determine Human Values(道徳の風景:科学はいかにして人間の価値を決定することができるか)』で行っている議論を…
何度か書いてきたことだが、儒教やキリスト教などの伝統的な道徳にせよ、現代における倫理学理論にせよ、道徳的な規範の多くには「黄金律」と呼ばれる考え方が含まれている*1。「あなたが人からしてもらいたいことを、人にしてあげなさい」という肯定的な形…
www.huffingtonpost.jp togetter.com togetter.com このテの話題でよく出てくるCultural appropriation(文化の盗用/文化の簒奪)という概念だが、白人が着物を着ることばかりでなく、「エミネムのような白人ラッパーはCultural appropriationだ」「ロック…