道徳的動物日記

動物や倫理学やアメリカについて勉強したことのある人の日記です。

心理学

男性が自殺するのは「支配欲」が原因だって?

wezz-y.com wezz-y.com 今日は、Wezzyというサイトに掲載された社会学者の平山亮のインタビューについて取り上げようと思う。タイトルからも察せる通り、男性が感じる社会的なプレッシャーや苦痛を問題として取り上げるタイプの「男性学」に対して平山は批判…

Google社員の「反多様性メモ」の内容は間違っていたのか?

jp.reuters.com www.bbc.com やや時機を逸している感はあるが、今更ながら、Google社員のジェームス・ダモアが社内文書にて男女の生物学的性差などを論じながらGoogleの多様性制度を批判したために解雇されてしまった事件について、軽く英語記事を紹介してみ…

肉食は"自然"で"必要"か?

honz.jp この記事についているブコメなどの反応を見てみると、社会心理学者のメラニー・ジョイ(Melanie Joy)が『Why We Love Dogs, Eat Pigs, and Wear Cows: An Introduciton to Carnism(肉食主義へのイントロダクション:なぜ私たちは犬を愛し、豚を食…

宗教はいかにして人を道徳的にするか(ロバート・パットナム『アメリカの美徳』)

American Grace: How Religion Divides and Unites Us 作者: Robert D. Putnam,David E. Campbell 出版社/メーカー: Simon & Schuster 発売日: 2012/02/21 メディア: ペーパーバック クリック: 3回 この商品を含むブログを見る 今日は『American Grace: How …

「善と悪は科学で測れるか?」 by サム・ハリス

www.samharris.org 今回紹介するのは、心理学者哲学者・神経科学者のサム・ハリス(Sam Harris)が自著『Moral Landscape: How Science Can Determine Human Values(道徳の風景:科学はいかにして人間の価値を決定することができるか)』で行っている議論を…

男性はなぜ孤独であるのか(トマス・ジョイナー『Lonley at the Top』)

以前に趣味で読んだ洋書の内容を紹介するシリーズ。今回の記事には自殺の話題が含まれているので、読む際には注意してほしい。 Lonely at the Top: The High Cost of Men's Success 作者: Thomas Joiner Ph.D. 出版社/メーカー: St. Martin's Press 発売日: …

環境美学のサバンナ仮説(ゴードン・オリアンズ『蛇、日の出、シェイクスピア』)

Snakes, Sunrises, and Shakespeare: How Evolution Shapes Our Loves and Fears 作者: Gordon H. Orians 出版社/メーカー: University of Chicago Press 発売日: 2014/04/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 以前に趣味で読んだ洋書…

社会運動において意見を発信する側はどうするべきか、そして意見を受け取る側はどうあるべきか

davitrice.hatenadiary.jp 上述の、先日に自分で書いた記事に付け足す形で思うところを書きたい。 先日の記事でも紹介したが、ニック・クーニー(Nick Cooney)の著書『心を変える:社会を変える方法について心理学が教えてくれること(Change of Heart: Wha…

社会運動を効果的に行うためにはどうすればいいのか?

Change of Heart: What Psychology Can Teach Us About Spreading Social Change (English Edition) 作者: Nick Cooney 出版社/メーカー: Lantern Books 発売日: 2015/09/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 今回は、ニック・クーニー(Nick …

「他人の立場に立つ」:黄金律、視点取得、共感、物語、理性、輪の拡大

何度か書いてきたことだが、儒教やキリスト教などの伝統的な道徳にせよ、現代における倫理学理論にせよ、道徳的な規範の多くには「黄金律」と呼ばれる考え方が含まれている*1。「あなたが人からしてもらいたいことを、人にしてあげなさい」という肯定的な形…

読書メモ:進化論 vs 道徳的実在論

The Point of View of the Universe: Sidgwick and Contemporary Ethics 作者: Katarzyna de Lazari-Radek,Peter Singer 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr (Txt) 発売日: 2016/06 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 『普遍的な観点から:…

読書メモ:倫理学とはなんぞや、道徳における「理由」と感情についてのシジウィックの見解

The Point of View of the Universe: Sidgwick and Contemporary Ethics 作者: Katarzyna de Lazari-Radek,Peter Singer 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr (Txt) 発売日: 2016/06 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 『The Point of View …

「共感の罠」 by ピーター・シンガー

www.project-syndicate.org 今回紹介するのは倫理学者ピーター・シンガーが先日にProject Syndicateに発表した記事。心理学者ポール・ブルームの新刊の書評的な記事である。 「共感の罠」 by ピーター・シンガー バラク・オバマがアメリカ大統領として選出さ…

科学的知識に基づいた動物倫理:ゲイリー・ヴァーナーのパーソン論

動物について言及する倫理学的主張の多くは「人間だけでなく動物も道徳的地位を持つ」「人間だけでなく動物も道徳的配慮の対象になる」と主張するが、「人間と動物は全く全く同じ道徳的地位を持つ」とは主張しない。例えば人間と猫を比較する場合には、多く…

トランプ現象と多文化主義 (ジョナサン・ハイトのインタビュー記事)

www.vox.com 今回紹介するのは、 Vox という web サイトに掲載された、社会心理学者のジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt 、文中では JH)へのインタビュー記事。ドナルド・トランプが大統領に当選した一週間後に発表された記事だが、記事の内容としては、…

「なぜ動物を食べることに罪悪感を抱かないのか?」

theconversation.com 今回紹介するのは、心理学者のキャロライン・スペンス(Caroline Spence)という人が2015年にオーストラリアの Conversation 誌に掲載誌した記事。社会心理学の論文が色々と参照されている。 「なぜ私たちは動物を食べることにもっ…

「分裂したアメリカ政治を乗り越える方法」 by ジョナサン・ハイト、ラヴィ・アイヤー

www.wsj.com 社会心理学者のジョナサン・ハイトとラヴィ・アイヤーが2016年の11月4日にウォール・ストリート・ジャーナルに発表された記事。ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプとの大統領選の結果が出る数日前に発表された記事だが、選挙の結…

「私が功利主義者ではない理由」 by ジュリアン・サバレスキュ

blog.practicalethics.ox.ac.uk 昨日に引き続き、Practical Ethics からジュリアン・サバレスキュ(Julian Savulescu)の記事を紹介。 「私が功利主義者ではない理由」 by ジュリアン・サバレスキュ 功利主義は多くの人々に嫌われていて、中傷されていて、誤…

トランプ支持者の心理・権威主義と反移民

www.the-american-interest.com 本日紹介するのは、 社会心理学者のジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt)が American Interest 誌に発表した「ナショナリズムはいつ、なぜ、グローバリズムに打ち勝つか(When and Why Nationalsm Beats Globalism)」という…

「戦争は人間の本性に深く根付いているという生物学理論」に関する、ジョン・ホーガンとスティーブン・ピンカーの見解

Steve Pinker demolishes John Horgan’s view of war « Why Evolution Is True 今回紹介するのは、進化生物学者のジェリー・コイン(Jerry Coyne)のブログに掲載された、「戦争は人間にとって生得的なものである」という主張を批判する科学ジャーナリストの…

肉食を正当化する心理

nymag.com 今回紹介するのは、 Science of Usというwebページにジェシ・シンガル(Jesse Singal)という人が掲載した「肉食を正当化する4つの方法(The 4 Ways People Rationalize Eating Meat)」という記事。 Why We Love Dogs, Eat Pigs, and Wear Cows:…

心理学者ポール・ブルームの反・共感論

ジャスト・ベイビー:赤ちゃんが教えてくれる善悪の起源 作者: ポール・ブルーム,竹田円 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2015/05/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 今回は心理学者ポール・ブルーム(Paul Bloom)の議論を…

道徳に関する意思決定と感情の関係について、心理学者兼哲学者のジョシュア・グリーンへのインタビュー

www.theatlantic.com 今回紹介するのは、 The Atlantic に掲載された、ローレン・カッシーニ・デイヴィス( Larwen Cassani Davis)という Editorial Fellow(編集委員?)による、哲学者・心理学者のジョシュア・グリーン(Joshua Greene)へのインタビュー…

「私たちは道徳的に賢くなっているのか?:IQの上昇、暴力の減少、経済的リベラリズムの関係」 by マイケル・シャーマー

reason.com 今回紹介するのは、心理学者で疑似科学批判者で無神論者のマイケル・シャーマー(Michael Shermer)が Reason.com というサイトに掲載した「Are We Becoming Morally Smarter?」という記事。 シャーマーは昨年に『 The Moral Arc: How Science an…

「古代の戦争と、空白の石板論」by マイケル・シャーマー

evolution-institute.org 今回紹介するのは、心理学者で疑似科学批判者であるマイケル・シャーマーがEvolution Instituteというサイトに掲載した記事。 記事の原題を全て訳すと「ツイートと石板について:古代の戦争と空白の石板論に関して、デビッド・スロ…

「警官による黒人の殺害(の大半)は偏見が原因ではない」 by リー・ジュシム

heterodoxacademy.org リー・ジュシムがHeterodox Academyに掲載した短めの記事を私訳して紹介(一文が長くて日本語にしづらい箇所は、文章の順番を変えたり意訳したりしている)。 ジュシムはステレオタイプについて研究している社会心理学者だが、ステレオ…

「被害者性の文化」と「マイクロアグレッション」

Where microaggressions really come from: A sociological account | The Righteous Mind 今回私訳したのは、社会学者のブラッドベリー・キャンベルとジェイソン・マニングによる共著論文「マイクロアグレッションと道徳文化」を社会心理学者のジョナサン・…

「我々はいかに道徳的であるべきか?」 (道徳と直感の関係について) by ジェリー・コイン

今回紹介するのは、無神論者で進化生物学者のジェリー・コインが自身のブログで2013年に発表した、道徳と直感の関係について議論している3つの論文と1つの本を取り上げた記事。 How should we be moral?: Three papers and a good book « Why Evolutio…

「大きな神々」の八つの法則、アラ・ノレンザヤンの『Big Gods: How Religion Transformed Cooperation and Conflict (宗教はいかに協力と争いを変えたか)』

今回紹介するのは、Ara Norenzayan(アラ・ノレンザヤン)の著書『Big Gods: How Religion Transformed Cooperation and Conflict (大きな神々:宗教はいかに協力と争いを変えたか)』。 Big Gods: How Religion Transformed Cooperation and Conflict 作者…

「動物愛護はナチス」「ヒトラーはベジタリアンだった」についての雑感

ナチスと動物―ペット・スケープゴート・ホロコースト 作者: ボリアサックス,Boria Sax,関口篤 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2002/05 メディア: 単行本 クリック: 22回 この商品を含むブログ (7件) を見る ヒトラーはベジタリアンであったと言われるし、…