読書メモ:『14歳から考えたい レイシズム』&『14歳から考えたい セクシュアリティ』&『14歳から考えたい 優生学』

『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 今回はすばる舎から出ている『14歳から考えたい』シリーズのうち3冊を一気に流し読みしたので、ごく短い感…

読書メモ:『市民的抵抗:非暴力が社会を変える』

市民的抵抗:非暴力が社会を変える 作者:エリカ・チェノウェス 白水社 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』、『貧困』と、最近のこのブログではVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介し続けているが、今回…

読書メモ:『一冊でわかる デモクラシー』&『啓蒙とはなにか:忘却された〈光〉の哲学』

『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』、『貧困』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第七弾。ただし今回紹介する『デモクラシー』と『権威主義』はどっちもあまり良い…

読書メモ:『14歳から考えたい 貧困』

14歳から考えたい 貧困 (A Very Short Introduction) 作者:フィリップ・ジェファーソン すばる舎 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介…

読書メモ:『ロールズ正義論とその周辺 コミュニタリアニズム、共和主義、ポストモダニズム』

ロールズ正義論とその周辺―コミュニタリアニズム、共和主義、ポストモダニズム 作者:渡辺 幹雄 春秋社 Amazon マイケル・サンデルの『実力も運のうち』は案の定ベストセラーになって、この度は文庫版も出版された*1。しかし、『実力も運のうち』でなされてい…

ピーター・シンガーによるマルクス論(読書メモ:『マルクス』)

マルクス ピーターシンガー/著 重田晃一/訳 ノーブランド品 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第五弾。 1989年発行のこの本はAmazon…

フェミニズムの理論をバランスよく(※)紹介する本(読書メモ:『はじめてのフェミニズム』)

はじめてのフェミニズム (ちくまプリマー新書) 作者:デボラ・キャメロン,向井和美 筑摩書房 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第五弾………

解釈としての法(読書メモ:『一冊でわかる 法哲学』)

法哲学 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者:レイモンド・ワックス 岩波書店 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第四弾。今回は『法哲学』である。 『一…

読書メモ:『移民をどう考えるか:グローバルに学ぶ入門書』

移民をどう考えるか: グローバルに学ぶ入門書 作者:カリド・コーザー 勁草書房 Amazon 一昨日の『福祉国家』、そして昨日の『ポピュリズム』に並んで、オックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第三弾。今回は『移民』…

ポピュリズムとリベラル・デモクラシー(読書メモ:『ポピュリズム デモクラシーの友と敵』

ポピュリズム:デモクラシーの友と敵 作者:カス・ミュデ,クリストバル・ロビラ・カルトワッセル 白水社 Amazon 昨日の『福祉国家』に引き続き、オックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第二弾*1。 ポピュリズムとはそ…

なくてはならない福祉国家(読書メモ:『福祉国家 救貧法の時代からポスト工業社会へ』)

福祉国家:救貧法の時代からポスト工業社会へ 作者:デイヴィッド・ガーランド 白水社 Amazon 最近はプライベートがバタバタしていて本を読む時間をじっくり取ることも難しく、また文章を書けるタイミングもなかなかないのだが、ナントカ合間合間に時間を捻出…

これから翻訳が出てほしいVery Short Introduction(+α)の一覧

kozakashiku.hatenablog.com 先日にくちなしさん(id:kozakashiku)がイギリスはオックスフォード大学出版会のVery Short Introductionシリーズの邦訳を一覧の形でまとめてくれるという実に有益な記事を公開してくれたが、今回の記事は、わたしがVery Short I…

読書メモ:『多文化時代の市民権:マイノリティの権利と自由主義』

多文化時代の市民権―マイノリティの権利と自由主義 作者:ウィル キムリッカ 晃洋書房 Amazon 読んだのは一ヶ月前なので、多少記憶から抜け落ちているところもある。 また、原初が出版されたのは1995年と約三十年前であり、本書のテーマとなる民族的マイノリ…

読書メモ:『原理の問題』

原理の問題 作者:ロナルド・ドゥオーキン 岩波書店 Amazon 政治哲学っぽい『平等とは何か』や議論がシンプルな『自由と法』はまだ読めたのだけれど、この本は法哲学という個人的に馴染みのない分野であるうえに議論もやたらとくどくどとしており、3章ぶん(…

リベラリズムにとって「手続き」と「平等」が大切な理由(読書メモ:『リベラリズム:リベラルな平等主義を擁護して』)

リベラリズム: リベラルな平等主義を擁護して 作者:ポール・ケリー 新評論 Amazon ジョン・ロールズなどの特定の思想家の解説本や思想史の本ではなくリベラリズムの「理論」への入門書が数少ないことには先日にも言及したが、今月の上旬にめでたく邦訳が出版…

読書メモ:『ジェンダー格差 実証経済学は何を語るか』

ジェンダー格差-実証経済学は何を語るか (中公新書 2768) 作者:牧野 百恵 中央公論新社 Amazon 「ジェンダー格差」と「実証経済学」の組み合わせに惹かれたこと、そして中公新書というレーベルの信頼度から、発売日直後に購入。 他にも読んでいる本はあるん…

言論の自由の「手段的」擁護論と「構成的」擁護論(読書メモ:『自由の法』②)

自由の法―米国憲法の道徳的解釈 作者:ロナルド・ドゥウォーキン,文彦, 石山 木鐸社 Amazon ほんとはちゃんとした記事にしたかったけれど本日中に図書館に返却する必要があり、家庭の事情のために早朝には家を出発する必要があるので、写経で済ませます。 憲…

学問の自由と倫理的個人主義(読書メモ:『自由の法』①)

自由の法―米国憲法の道徳的解釈 作者:ロナルド・ドゥウォーキン,文彦, 石山 木鐸社 Amazon 家庭の事情(飼い始めた猫の夜泣きがひどくて睡眠に支障が出ているなど)のために執筆時間はもちろんのこと読書に割ける時間もかなり目減りしている状況なのだが、今…

理性と論理に基づくリベラリズム(読書メモ『Liberalism : the basics』)

Liberalism: The Basics (English Edition) 作者:Charvet, John Routledge Amazon 次の本の執筆に向けて昨年からリベラリズムのことを勉強し続けているうちに気が尽かされたのだが、哲学や理論としてのリベラリズムの入門書は意外なほどに少ない。 中公新書…

責任否定論に現実味がない理由(読書メモ:『考えるあなたのための倫理入門』)

考えるあなたのための倫理入門 作者:メアリー・ウォーノック 春秋社 Amazon この本は返却期限の問題から3章の「権利」と5章の「自由、責任、決定論」しか読めていない。前者の議論はいろいろと納得ができなかったが、後者にはピーター・ストローソンの講演…

「公共道徳」と「私的倫理」(読書メモ:『J・S・ミル:自由を探究した思想家』)

J・S・ミル 自由を探究した思想家 (中公新書) 作者:関口正司 中央公論新社 Amazon この新書に関しては先日に前夜祭的な記事を書いている。 davitrice.hatenadiary.jp また、『自由論』についてはこのブログやWebメディアに掲載した記事などでもたびたび登…

読書メモ:『社会正義論の系譜:ヒュームからウォルツァーまで』

社会正義論の系譜―ヒュームからウォルツァーまで (叢書フロネーシス) ナカニシヤ出版 Amazon 先日にリチャード・ベラミーの『哲学がわかる シティズンシップ』の邦訳が発売されて、このブログでも記事を書いた。 davitrice.hatenadiary.jp また、8月にはポー…

読書メモ:『分配的正義の歴史』

分配的正義の歴史 作者:フライシャッカー,サミュエル 晃洋書房 Amazon 数年前にも読んだことあるはずだが内容はまったく覚えていない。 思想史の本ではあるがその主張と主張と明快だ。現在では当たり前に思われている「(功績 meritではなく)必要性に基づい…

「政治」は「法」よりも重要か?(読書メモ:『哲学がわかる シティズンシップ』)

哲学がわかる シティズンシップ: 民主主義をいかに活用すべきか 作者:リチャード・ベラミー 岩波書店 Amazon シティズンシップ(Citizenship) という単語は様々に訳せられる言葉であり、単に「市民であること」を意味する場合もあれば、「市民権」「公民権…

続・公共的理性とはなんぞや(読書メモ:『公共哲学入門』)

公共哲学入門 自由と複数性のある社会のために NHKブックス 作者:齋藤 純一,谷澤 正嗣 NHK出版 Amazon 「公共哲学」と書くと見慣れない人も多いかもしれないし、本書の第一章では他の哲学ではなく「公共哲学」に特有の課題とは何かということが解説されて…

読書メモ:『J・S・ミルと現代』&『一冊でわかるJ・S・ミル』

来週に中公新書の『J・S・ミル』が出版されるし*1、表現の自由論を勉強したり『経済学の倫理学』を読んだりしたことで最近はまたミルに触れる機会が増えてきたので*2、中公新書の予習というか前夜祭的な感じで岩波新書とオックスフォードのVery Short Intr…

【2023年版】キャンセル・カルチャーのなにが問題か

(6/14追記:トークイベントをやりましたのでよかったら視聴(※チケット購入)してください) #左からのキャンセル・カルチャー論無事終了!!あいちトリエンナーレの件から小山田圭吾事件、あらゆる差別問題…様々な角度から“キャンセル・カルチャー”につ…

読書メモ:『哲学人 生きるために哲学を読み直す』

哲学人―生きるために哲学を読み直す〈上〉 作者:ブライアン マギー 日本放送出版協会 Amazon 著者のブライアン・マギーはオックスフォードやケンブリッジを学んだ経歴を持つが、アカデミシャンや職業的な「プロ哲学者」ではなく、あくまで在野の人間としてテ…

「思想の自由市場」の価値とはなんだろうか?

ヘイト・スピーチという危害 作者:ジェレミー・ウォルドロン みすず書房 Amazon 前回の記事でも紹介したジェレミー・ウォルドロンの『ヘイト・スピーチという危害』では、表現の自由を擁護する議論の古典であり現代でも頻繁に参照されているジョン・スチュア…

読書メモ:『ヘイト・スピーチという危害』ほか

davitrice.hatenadiary.jp 前回に引き続き、来たる6月13日の「左からのキャンセル・カルチャー論」トークイベントに向けて、表現の自由というトピックに関して復習中*1。 最近に読んだり再読したりした本は以下の通り。 ヘイト・スピーチという危害 作者:…